LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/3/20

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

 

スモール・グラフィックと呼ばれる、小さな印刷物が好きなのは以前も書きました。

グラフィックデザインの仕事をしていて、いつかはやってみたいと思っていたのが30センチLPのデザインですが、ついにそれを仕事としてやることはできませんでした。

それでも、ポストカードやブックデザインなど、形が決まっていてその中に世界を作っていく、そんなデザインの仕事が好きです。

グラフィックデザイン、特に広告の花形は昔だったら新聞15段(全面広告)や30段(見開き全面)、ポスターだったら駅貼りのB倍などですが、かつてはそんな仕事もいっぱいしましたが、そういう大きなものよりもスモールなものが好きなのは、もったいない、というか我ながら貧乏くさいな、と思ったものです。

 

今日は、ホテルの便せん、封筒の話です。

わが家のクローゼットの中には書類箱に何箱も、ホテルの便せんや封筒が入った書類ボックスがあります。

昔は国内外合わせ出張が多く、また海外旅行にもよく行ったものでした。

そんな時に必ずもらってきたのが、こんなホテルの便せんと封筒です。

いつか自分で使おうと思ってもらってきたのですが、旅先からでもないのにこれらのレターセットを使うのもためらわれ、結局あまり使うことはありませんでした。旅から帰ってくると、この箱の中にどんどん放り込んでいっただけですが、何十年もの間に結構溜まっていました。

 

懐かしいカーメルのホテルや、チャラすぎて疲れたNYのソーホーグランドホテルなど。

 

親友Kタンと泊まったパリのスクリーブや、撮影で行ったラスベガスのミラージュなど。

 

大好きなハレクラニ、ハナマウイ、 出張で泊まったニューヨークのプラザやエセックスハウスなど。

 

ロンドンのカドガン、パリのルテシア、これもKタンといったカハラマンダリンなど。

 

これらを見ていると、不思議とその旅行や出張のことが思い出されてきます。

一見、単に白い紙にロゴやホテル名が印刷されているだけのように見えますが、紙の微妙な色や厚みの違い、ロゴのデザイン、金の箔押しなどのラグジュアリーな表現、などなど、、、。

小さな便せんや封筒の中に、しっかりそのホテルや都市、国や文化が凝縮されているのだと思います。

 

アンディー・ウォーホールのアート作品には、滞在先のホテルの便せんを使ったものがありますし、ジョン・レノンも日本のホテルの便せんに落書きのような絵を描いたものが有名です。

なにか旅情というか、その場にいたというドキュメンタリー性がそれらのアートにはあって、魅力になるのでしょう。

 

日本のホテルの便せんや封筒。

 

上の写真は日本のホテルのレターセット。

やはり、キャピタル東急ホテルや京都ロイヤルホテルなど、昔のものは味があります。逆にビジネスホテル系はデザインとしてはつまらない。泊まる目的が目的ですから、しかたないのでしょうね。

 

 

さて、スマホやメールが普及したいま、こういった便せんや封筒を使う人はどれだけいるのでしょうか?

特にビジネスなどで使うことはめったになくなったと思います。そのかわり、バカンスや休暇を過ごすようなちょっとリッチなホテルなどではいまだにきれいなレターセットが用意されています。

 

志摩のアマネムと東京のリノベーションホテルの雄クラスカ。

 

浅草のゲートホテルや、オシャレホテルモクシーなど。

 

ラグジュアリーなホテルには昔ながらのラグジュアリーなレターセットが、オシャレなブティックホテルにはそのイメージに合ったモダンなレターセットが用意されており、手紙が単なる通信の手段ではなくなった今、これらのグラフィックは「ホテルのイメージ」を表現する役割に特化してきたように思います。

それもまた、楽しいといえば楽しい。

 

「何でも取っときたい」「捨てられない」、の面目躍如のコレクションではありますが、こんな「タダ(無料)」のものでも、時間をかければコレクションぽくなるし、また思い出のよすがともなります。

こんなものの中からも時代の変化、といったものも読み取れて、なかなか面白いと思うのは僕だけでしょうか?

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

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