住めば都も、遷都する2018/3/15

 

けもの道という言葉がある。いつも動物たちが通ることで、踏み固められたところを言うようだ。私たち、人間という「けもの」も、つい、同じ道を歩みたくなる。散歩道である。

 

一方、蝶道というものもあるらしい。アゲハチョウなどが、おなじ空間を周回するのである。その「飛行経路」では、お気に入りの蜜を与えてくれる花などが迎えてくれるという。

 

歩き慣れた道、飛び慣れた空間、私たちも散歩道では心が安らかだ。待っているものが、予想されるからだろう。のんびりと歩くとき、サプライズはあまり求めていない。半分無意識で足を運べるのがありがたいのである。

 

でも、いつもの道も、季節が巡るときは嬉しい。光景が一変して、寒い時期が終わったことを教えてくれる。

 

あなたは、桜が迎えてくれる散歩道を持っていますか。菜の花に出会える一角を知っていますか。春に出会える散歩道では、背が伸びる。天が近くなる気がする。今年の冬は厳しかったですからね。

 

 

散歩は、ひとりでも、ふたりでも、犬連れでも楽しい。朝もいいし、昼下がりもいい。でも、暖かくなってくると、夜道をコツコツと行くのも元気が出るものだ。

 

いつも見慣れたビル街を抜けると、ふっと、夜桜に出会って。昼間は、人の少ない公園があるなとしか思っていなかったのに、突然、舞台の正面に立ったような。

 

同じ道を行く。そこに少しだけ、気まぐれを混ぜながら(私たちは、けものや蝶より、気まぐれも多いことですし)。午前7時、午後2時、午後8時、深夜の2時・・・私たちは、いろいろな街の顔に出会う。

 

住めば都も、遷都する。場所を移ると言うことは、住まいの窓から見える風景も変えるが、何と言っても、生活の本拠地を移動させることは、家族のあり方にも刺激を与える。

 

いままでは、ショッピングにしか興味を持たなかった配偶者が、散歩に付き合ってくれるようになるかも知れない。街には、それぞれ、魅力があるのだ。

 

引っ越し当初は、ひとまず、散歩に向いた道を探して、うろつくことになる。面白いのは、歩き回るうちに以前なじんだ散歩道に出くわすことがあること。「ああ、ここにつながるのか」とホッとするような、懐かしいような。前の住まいを見上げると、すでにカーテンも替わっていて、違う住まいのようにも見える。それも、また、楽しい。

 

 

関沢英彦

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

http://ameblo.jp/ideationconsultant/entry-12291077468.html

 

 

 

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