住めば都も、遷都する2018/2/25

恋愛結婚の家庭は、1960年代の後半に見合い結婚の率を上回って、現在は9割弱 (国立社会保障・人口問題研究所)だとか。ほとんどの夫婦は、恋愛をして結婚に至っている。

 

アメリカのスタンバーグという心理学者は、1980年代に「愛の三角理論」という考えを示した。恋愛には、3つの要素があるというのだ。まず、「情熱」。2番目に「親しみ」。3番目は「関わり」。どの恋愛も、この3要素を含むが、比重が異なるのである。

 

あなたの場合、ふたりの関係は、どの要素が大きいのだろうか。結婚して年数がたっても、「情熱」の比重が高い? だとすれば、東洋風に言えば、「比翼連理」の関係かしら。

 

比翼とは雌雄が翼をひとつずつしか持たないので、いつも、一緒に飛んでいる鳥。連理は、元々2本の樹木なのに枝が連なって一体化していること。唐の時代、白楽天が玄宗皇帝と楊貴妃の恋を描いた「長恨歌」に出てくる。

 

一方、「親しみ」がより大切という夫婦も多いだろう。西欧のジャーナリストや学者に対して、日本事情を話すときに訳しにくいのが、「空気みたいな夫婦」という言葉。「日本の男女関係は、時間がたつほど、重すぎない、でも、それが無くては生きていけない空気のような関係になる」といっても、「よく、わからない」といわれてしまう。

 

 

ただ、中には、「空気みたいな関係」をうらやましいという外国人もいる(とくに男性)。「でもねえ、カップルを基本とする社会では、情熱的関係を演じ続けないといけないんだ」。

 

「空気みたいな夫婦」は、「比翼連理」の関係のように互いに寄りかかることもなく、「独立独歩」で、それぞれが好きなことをやっている。しかし、「親しみ」の思いが強いので、安心して日常が送れる。

 

結婚後数年間は、「比翼連理」を満喫していたふたりも、やがて、「独立独歩」の関係になることが、日本では多いかも知れない。いずれにしても、「情熱」「親しみ」の比重の違いはあっても、その根底には「関わり」の気持ちが維持されている。それこそが家族のベースだ。

 

「この人と何があっても関わっていこう」という思いこそ、ふたりの関係を続けていく原動力。人生100年時代には、「関わり」が最も大切な要素なのかも知れない。

 

さて、夫婦のカタチが違えば、住まいのカタチも変わってくる。かつては「比翼連理」の関係だったときは、同じ部屋で寝て、同じ時間にご飯を食べて、同じ場所に出かけることが多かった。片時も離れたくなかったのである。

 

しかし、子供が大きくなると、夫婦それぞれが解放される。自ずと生活時間もずれてくる。こうして関係が「独立独歩」になってくれば、寝室は別にした方が、互いにストレスが溜まらないと考えるカップルも増える。それぞれが自分の部屋を持ち、書斎・アトリエとして兼用する方が、互いに自己実現の場を持てるという意見も納得できる。

 

もちろん、「比翼連理」でも、「独立独歩」でも、居間と台所は、住まいのカナメであることに変わりはない。ゆったりと「関わり」を持てる広い空間があれば、夫婦のカタチをしっかりと支えてくれる。

 

住めば都も、遷都する。夫婦のありかたが変わったら、住まいを変えてみるのも、ひとつの有効な手段である。なぜなら、これからも、ふたりの関係はまだまだ続くのだから。

 

 

関沢英彦

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

http://ameblo.jp/ideationconsultant/entry-12291077468.html

 

 

 

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