LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2018/1/9

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

お正月の盛りつけ。黒豆、たたきごぼう、レンコンのマーマレード和え。 皿は自慢の藍柿右衛門。17世紀のものです。

 

祖母が生きていて、母もまだ元気だったころは毎年ふたりがおせち料理を作っていました。

おせち料理といっても昔から家で作り続けられてきたもので、すべからく茶色っぽい田舎ふう、特別な華やかさなどはまったくないものでしたが、それでも台所から、普段より甘いおせち独特の煮炊きの匂いがしてくると、年の瀬を感じたものです。

僕が高校生くらいになり、世間に比べわが家のおせちの「地味さ」が物足りなくなってくると、こんどは自分でひと品ふた品作るようになりました。「きょうの料理」テキストを見ながら作った「栗きんとん」は今でも毎年作る定番になりました。

 

いまから20年ほど前に母が病気で倒れると、それまで台所に入ることなどまったくなかった父が料理をするようになりました。自分たちの居室のある2階に小さなキッチンを作り、かんたんな朝ごはんなどはそこで父が作っていたようです。

そのころ僕はすでに東京にいましたので、たまに帰るとそんな父の姿に驚いたものです。

 

ある年の年末、今年は父が黒豆を煮た、というのでまたまた驚きました。新聞に載っていた土井勝のレシピで作った、と。

うちの黒豆はしわくちゃで、ゴボウやニンジンそして栗が入った正月らしくもないただの煮物ですが、父の(土井勝の)黒豆はツヤツヤとハリがあり甘くてやわらかでした。

しかし、一度作って飽きてしまったのか、僕の記憶では父が黒豆を煮たのはその年だけだった気がします。

 

そんな父も他界し、毎年夜なべしてクワイやハゼを煮てくれていた祖母もいなくなり、今では母と僕の2人だけの正月。

最近では母の愉しみは、毎年デパートで老舗のおせち料理を注文することなんですが、それでも僕が数品は料理を作ります。

 

数年前にふと思い出して、黒豆を煮てみようと思いたちました。

父の、いや土井勝の黒豆。

レシピサイトで検索すると簡単に見つかりました。

そうして作ったのが、タイトルページの黒豆です。

 

南部鉄器のカタツムリは錆びクギの替りです。錆びたクギなんて、なかなか家にないですよね?

 

土井勝のレシピ、すばらしいです。

何しろ父でも出来るくらいなんですから。

読んだところによると、だれでも決して失敗しないように、時間さえかければ出来上がるように工夫されたレシピなんだそうです。

 

ある年の盛りつけ。チョロギを添えて。

 

そうして煮上がった黒豆はもちろん正月に実家に持って帰りましたが、それでも多くて、小ビンに分けてお友達に差し上げたりします。

そんなときのために空き瓶もいっぱい取ってあるんですが、煮沸したビンに詰めて、それを脱気して、と差し上げるものにはより気を使いますね。

ラベルを貼ってプレゼントっぽくするとみなさん喜んでくださいました。正月にいろんな黒豆をちょっとずつ食べ比べるのも面白いと思います。

 

 

プレゼント用にラベルなどで着飾った黒豆。

 

お正月が終わり、実家から東京に帰ってくると、冷蔵庫には自分用の黒豆のビンがまだ入っています。もう食べ飽きたな、と思い、ふと思いついてそれをパウンドケーキに入れて焼いてみました。

お正月に使った柚子の残りも入れて、黒豆のシロップも使いました。

こうして焼いたパウンドケーキは、今度はカットしたものをかわいく包装してバレエ教室のみんなにもらってもらいました。

「黒豆と柚子のパウンドケーキ」。なかなかおいしかったですよ。

 

 

トランスフォーム。黒豆のパウンドケーキの焼き上がり。

 

以上がサスティナブルな「黒豆物語」。

去年の暮れも煮ました。今年も「まめに」行きたいものです。

 

リユース。懐石料理練習。白味噌の汁に長いもと黒豆。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

 

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