オープンキャンバス2017/12/20

 

こんにちは、マンションマイスターの石川です。

 

フィールドトリップ第1回の後日記事はもう読んでいただけましたでしょうか。

 

ご好評頂きありがとうございます。

 

実は!第2回目のフィールドトリップを1月末を予定しています。

 

また詳細の告知は年明け早々に致しますので、こうご期待ください!

 

 

さて、本題です。

 

小休止の補講を挟み、前回の講義からマンションの価値を現す4つの性格のうち、3つ目となる、

3.「耐久性」

の講義に入っています。

 

おさらいをしておきましょう。

「耐久性」とは、言葉の通り、どれだけ長く使えるか、ということですが、その長く使えるか、の定義も「物理的耐久性」

「機能的・社会的耐久性」と大きく2種類ありました。

 

「物理的耐久性」は一般的に使われる概念で、経年を主として、モノとして安全に使える状態がどれだけ長く続くかを現します。

一方、「機能的・社会的耐久性」は、モノとしてはまだ安全に使える状態にあるのだけど、人の生活様式や、選好性の変化によって、当初のニーズが弱まり「時代遅れ」になることを現します。

 

これにより「耐久性」をさらに分解すると、以下の3つになることを勉強しましたね。

 

1つ目は、物理的耐久性の中でも、表面劣化への影響。

つまり、通常に目に見える部分へ影響を与える要因です。

2つ目は、物理的耐久性の中でも、構造劣化への影響。

つまり、通常では目に見えない、構造体へ影響を与える要因です。

3つ目は、機能的・社会的な変化による影響です。

先程説明した「時代遅れ」になる要因ですね。

 

 

これを踏まえて、マンションの価値を形成するマトリックス表は、どこまで埋まりましたでしょうか。

今日のテーマ部分(黄色部分)と合わせて見てみましょう。

 

はい、段々マトリックスも埋まって、ゴールが見えてきましたね。

今日は黄色の部分、

 

3.耐久性

×

B.一棟の建物に関する要因

 

の説明に入っていきます。

 

 

では、いつものように、鉛筆にマンションマイスターの魔法を一振りすると・・・

 

ちちんぷいぷい!

 

 

はい、出てきました。

マンション1棟の建物に関する、聞きなれた言葉が多いのではないでしょうか。

 

では具体の中身を見ていきます。

 

まずは、「表面劣化への影響」カテゴリーから見ていきましょう。

 

・『築年数・大規模修繕からの年数』

築年が経過すればするほど、劣化の状態は増していきますので、竣工後からの築年数は当然大きな指標です。

しかし、マンションには「大規模修繕」という大きな工事が定期的に行われます。毎月、管理費とともに「修繕積立金」という費用を払っているのはこのためです。専有部分の所有者から毎月、修繕積立金を徴収し、月々は少額でも10年スパンで各所有者から積み立てられた全体の金額を合計すると、とても大きな額になります。これを使って、外壁等の塗り替え、設備の入替等、大がかりな更新工事をするものです。

耐久性を判断するに当たり、築年数だけでは十分でなく、大規模修繕の履歴(内容)、頻度、直近の大規模修繕からの年数を確認し、実態としての劣化具合をチェックします。

 

・『外壁、壁・タイル、手すり等の状態』

築年数や、修繕からの年数はあくまで指標です。工事の質によって劣化のスピードが異なります。したがった、実際の劣化の程度を確認します。具体的には、外壁のクラック、目地・コーティングの劣化具合、タイルの欠け・浮き・剥がれ、手すり・パラペット(屋上やバルコニーなどの外周部に設けられた低い手すり壁)等の錆を目視で確認します。

 

・『共用配管の状態』

共用配管の使用素材、交換時期を確認します。

給水管等の配管や電気等の配線は、共用部分から専有部分まで繋がっていますので、どこまでが共用部分かも確認します。専有部分と共用部分の区分については、その設置目的、設置場所、その物の性質、維持管理の状況等によって判断され、管理規約で定められています。

 

 

次は「構造劣化への影響」です。

 

・『築年数・大規模修繕からの年数』

これは「表面劣化への影響」にも出てきましたね。築年数・大規模修繕からの年数は構造体の劣化の判断にもなります。但し、外壁等の表面部分と比べ、コンクリートの躯体, 土台や柱、梁、など建物の構造を支える骨組を修繕するのは困難な部分もあり、限定的な修繕となります。

 

・『建物の構造』

マンションの建物の構造として、RC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造が一般的です。

最も一般的なのはRC造です。鉄筋で建物の骨組みをつくり、その鉄筋の周りにコンクリートを流し込んで補強するもので、耐火、耐震性に優れるという性質を持っています。鉄筋とコンクリートはそれぞれ利点があります。鉄筋は引っ張られる力に対して強く、コンクリートは圧縮される力に強いので、2つを一緒にすることで強度を高められます。また、外気に触れると錆びやすい鉄をコンクリートが補っていることで耐久性を高めます。

SRCはRCにS(鉄骨)を加えることで、より柱間を長くしたり、高い建物を建てられるようにしたものです。関東大震災以降、地震の多い日本の高層建物の工法として一般的になりました。鉄骨を支柱として、その周りに鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで、柱、梁を作ります。RC造の強さに、鉄骨のしなやかさがプラスされることで耐震性に優れてます。一般的にはRC造に比べて建築コストが高いと言われますが、コスト面では個別性や他要因の影響が強く一概には言えません。

その他、稀ですが、低層マンションだけ用いられるものとして、WRCやPCというものも目にします。WRCとは「壁式構造」と呼ばれ、柱と梁を使わず。壁・床・天井の3面で建物を支える工法です。専有部分に柱や梁がなく、空間がすっきりします。PCは「プレキャスト鉄筋コンクリート工法」といい、工場で製作されたコンクリート部材を使う工法で、長い柱間を取りたいときなどに用いられます。

 

 

最後に、「機能的・社会的影響」です。

 

・『設備の維持修繕』

『必要設備の増設』

『更新のしやすさの程度』

マンションに住むにあたり、機能的・社会的影響の程度、つまり、人の生活様式や、選好性の変化によって、当初のニーズが弱まり「時代遅れ」になる程度は、設備の状態が大きく影響します。

共用部分では、エレベーターの点検の程度、大規模修繕時に最新のものへの入替があるか、ケーブルテレビやBS/CS放送へ対応できるか、インターネット環境、共用配管の洗浄頻度・交換が可能かどうか、増圧・給水施設への更新の頻度・更新が可能かどうか、などが上げられます。これらは当然専有部分に関する事項でも出てくるのですが、専有部分の前に1棟の建物として、そうした更新が可能になっているかどうかが大前提になります。

 

 

いかがでしたか。

 

耐久性ということで、前回はまずはマンションの建っているエリアの条件、今回は1棟の建物全体の条件を見てきました。

マクロ的なエリアの話から、1棟のマンションに至るまで、いろいろな角度から見る必要があることがお分かりになりましたでしょうか。

 

次回は、次のマトリックス

3.耐久性

×

C.専有部分に関する要因

 

の講義にはいります。

 

専有部分は生活の基礎となるスペースですから、これからどれだけ長く快適に住み続けられるか、とても大事ですよね。

次回をお楽しみに!

 

マンションマイスターの石川でした。

 

 

石川勝

不動産鑑定士

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

 

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