オープンキャンバス2017/12/12

皆さん、こんにちは。

本年もクリスマス、そして師走が差し迫ってきましたね。

いつものようにマンションを眺めながら街を歩いていると、バルコニーを使って季節のデコレートで、道行く人を楽しませてくれる風景に出会ったりします。

 

あっという間にこの講義も15回目を迎え、すっかりお馴染みになりました

マンションマイスターこと不動産鑑定士の石川です。

 

さあ、前回の小休止の補講を挟み、今日からまた本講義が始まりますよ。

 

今日は各論の第8回です。

マンションの価値を形成するマトリックス表は、どこまで埋まりましたでしょうか。

そうです。

4つの性格のうち

1.「安全性」

2.「居住性」

が終わりましたね。

今日からは

3.「耐久性」

を見ていきます。

 

マンションは戸建住宅よりも、丈夫に造られ、ずっと長く住み続けられるもの。

特に新しいものほど、建築技術が発達し、着実に寿命は延びていると言われます。

それだからこそ、中古となっても流通していくのですが、その中古となってからの流通の程度は個別の要件によって異なり、「耐久性」に大きく依存します。

 

まず、「耐久性」とは何かを説明します。言葉の通り、どれだけ長く使えるか、ということですが、

その長く使えるか、の定義も大きく2種類あります。

「物理的耐久性」

「機能的・社会的耐久性」

です。

 

「物理的耐久性」は一般的に使われる概念ですね。モノは新しく作ってから、時がたてばたつほど、また、使用頻度が増えれば増えるほど、劣化していきます。モノとして安全に使える状態がどれだけ長く続くか、これが物理的耐久性です。

一方、「機能的・社会的耐久性」の方は馴染みが薄いかも知れません。モノとしてはまだ安全に使える状態にあるのだけど、人の生活様式や、選好性の変化によって、当初のニーズが弱まり「時代遅れ」になることです。

 

この点から、いつものように「耐久性」を3つの要因に分解して、項目を見ていきます。

1つ目は、物理的耐久性の中でも、表面劣化への影響。

つまり、通常に目に見える部分へ影響を与える要因です。

2つ目は、物理的耐久性の中でも、構造劣化への影響。

つまり、通常では目に見えない、構造体へ影響を与える要因です。

3つ目は、機能的・社会的な変化による影響です。

先程説明した「時代遅れ」になる要因ですね。

 

以上を表にまとめると、このようになります。

 

 

 

さあ、下準備が出来ました。今日はマトリックスのうち、

3.耐久性

×

A.エリア・立地に関する要因

 

を埋めていきますよ。

下の黄色の部分です。

 

 

では、いつものように、鉛筆にマンションマイスターの魔法を一振りすると・・・

 

ちちんぷいぷい!

 

はい、では具体の中身を見ていきます。

 

まずは、「表面劣化への影響」から見ていきましょう。

 

・『海からの距離・風向き』

これは、表面劣化へ一番影響が深刻と言われる「塩害」の可能性です。

海の近くのマンションは、「オーシャンビュー」といった眺望の良さというメリットもありますが、一方で、常に潮風にさらされ塩害の被害が現れます。鉄、コンクリート、電気設備といったものへの影響、さらにコンクリートの内部まで塩が入り込み中の構造体の鉄筋まで腐食するケースもあります。

具体的に建物に対策を講じることも可能ですが、ここでは、エリアとして海からの位置関係で塩害の影響の可能性があるかを見ます。

海からの距離はもちろんですが、潮風の風向きによっても影響の程度が違うのでチェックが必要です。

 

・『日照時間・日当りの良否』

エリアによって、1日の中の日照時間、また、1年を通しての日照時間の違いがあります。日照時間が短いと、湿気によってカビが繁殖し、コンクリートやタイル等への劣化影響があります。

また、同一のエリアでも、マンションの建つ地形の起伏の程度や、地勢によって、日当りに影響があり、同様の劣化影響があります。

 

 

・『交通量の多いエリアか』

車の排気ガスや、通行量の多いことによる振動の程度も、コンクリートや鉄、タイル等への劣化影響があります。交通量の調査や、幹線道路からの距離、振動の程度をチェックします。

 

 

次は「構造劣化への影響」を見て行きます。

 

・『自然災害の有無・履歴』

マンションの構造体に影響を与える、地震や洪水といった自然災害の影響がどれだけあったエリアなのか、チェックします。

同一市区町村でも、地盤の状態等によって、細かいエリア区分で震度の大きさ、液状化の程度が異なります。また、洪水についても同様で、細かいエリア区分でリスクが異なります。以前講義でも触れたハザードマップなどで洪水の履歴・可能性を確認しましょう。

 

 

最後に「機能的・社会的影響」です。

 

・『世帯数・人口動態の影響』

そのエリアの世帯数や世帯構成が、年々どう変化しているか。例えば、ファミリー世帯が増え単身世帯が減少しているエリア、その逆でファミリー世帯が減少しているエリア、高齢化が進んでいるエリア。

こうした目立った世帯数・世帯構成・人口動態に変化があるエリアは、当初マンションが建てられた時代のニーズに合わず、

「場違いマンション」として機能的・社会的耐久性が劣ってくる場合があります。

特にマンションは戸建住宅と違い、増築・減築が出来ないため、専有面積はどうしようもありません。また間取に関しても必ずしも100%自由にリフォームできるとは限りませんので、こうしたエリアのマクロ分析は大事になります。(リフォームに関する要因は「専有部分に関する事項」で説明します)

 

いかがでしたか。

今日から「耐久性」について見ていきましたが、まずはマンションの建っているエリアの立地条件や、世帯・人口といったマクロ条件が大事で、かつ、いろいろな角度から見る必要があることがお分かりになりましたでしょうか。

 

次回は、次のマトリックス

    

3.耐久性

×

B.一棟の建物に関する要因

 

の講義にはいります。

1棟の建物のどのような要因が、物理的や、機能的・社会的な耐久性に影響するのでしょうか。興味ありますね。

お楽しみに!

 

マンションマイスターの石川でした。

 

 

石川勝

不動産鑑定士

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

 

 

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