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LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2017/12/4

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

「ティファニーで朝食を」の「オードリー・ヘプバーンベア」。

 

 

 

自分のことをもちろん冗談半分ですが、「手芸の国の王子様」と呼んだりしています。

そのくらい手仕事が好きで、過去にもいろいろなものを作りました。

今回はその中から「ムービー・ベア」のシリーズを。

 

もう30年ちかくも前でしょうか?体調を壊してひと月ほど入院したことがあります。退院後も自宅療養でゆっくりしていなくてはならず、そもそもインドア仕事が好きなので、ぬいぐるみでも作ってみよう、と思い立ちました。

なんでそう思ったかは今となっては思いだせないのですが、シュタイフなんかのイギリス風のテディベアなんかがはやっていたころだったかもしれません。

さっそくハウツー本を買ってきて作り始めました。

第一作は今も手元にありますが、グレーのタオルを使った2匹の熊。

結構うまく出来たので気を良くしました。(このくだり、ケーキ作りの時と同じです。)

 

記念すべき(?)第一作。タオルの裏表で作り分けています。名前は「ピエールとジル」。

 

一作目はうまく行ったのですが、同じことをやりたくないのはシロートのかなしさ、浅はかさ。次にはもう違うことをやりたくなってしまいました。

そこで思いついたのが、「オードリー・ヘプバーンのイメージでテディベアを作ってみよう」ということ。アイディアが浮かべばあとはひたすらその実現に向けて突き進むだけです。

 

映画のファーストシーン。早朝の5番街、ティファニーのショーウィンドウの前にたたずむ黒いイブニングドレス姿のオードリー。すべての映画の中でも最も好きなシーンの一つです。

ジヴァンシ―のドレスはたぶん分厚いシルククレープか何かかな?とあたりをつけ、オカダヤで生地を買ってきました。たかだか50センチも買えば足りてしまうので、いい生地も買えます。

キッチュな大ぶりのアクセサリー用のビーズや模造パールも買いました。あとはストール用の白いシルクオーガンジー。

そうして出来あがったのが一番上に上げた「オードリー・ヘプバーンベア」です。

 

もともとかなりの映画好き、中学時代から名画座に通いつめてはクラシックな映画を見まくっていました。それもあって、いろんな映画のヒロインのイメージでテディベアを作ったら面白いかも!!と思い付き、次に作ったのが「クリスチナ女王」のグレタ・ガルボベア。

実在のスウェーデンの男装の女王を大女優グレタ・ガルボが演じた、1933年の名作映画です。黒のベルベットでボディーを作り、気高い気性を糊のきいた白い麻の襟で表現しました。十字架や金のコードのベルト、襟元のシルクのリボンなどなど。フェルトで作った帽子には写真では見えませんが黒い羽根飾りが付いています。こういった小物のディテールに凝るのが楽しくて仕方ありませんでした。

 

「グレタ・ガルボベア」自分としてはかなり名作だと。

 

 

そして次に作ったのは、「マレーネ・ディートリッヒベア」。

映画「上海特急」の上海リリーのイメージです。紫のシルクタフタの上に黒いレースを重ねています。

このあたりになると映画の中にこういった衣装が出てくるわけではなく、まさに「イメージ」勝手に膨らませたイメージで作っていました。デコラティブでゴージャスなテディベア。そのミスマッチが面白いと思っていました。

 

「マレーネ・ディートリッヒベア」。アクセサリーもハデハデに。

 

その後も、いっぱい作って、いつかこういうテディベアのの展覧会やったら面白いだろうな、などと夢は膨らみ、次々いろいろ作って行きました。

 

左より、「花嫁の父」のエリザベス・テーラーベア。「若草物語」のマーガレット・オブライエンベア。「アイ・ラブ・ルーシー」のルシル・ボールベア。一番右は「令嬢殺人事件(Letty Lynton)」のジョーン・クロフォードベア。

 

 

映画のウエディングドレスとはまるで違いますが、コットンレースでその気分を。

 

アンティークレースを染めて、エプロンとリボンを。

 

有名な映画衣装デザイナー、エイドリアンの豪華なイメージを金のシルクにレースを重ね、スパンコールやビーズを足しました。

 

MGMの学園ものミュージカル「グッドニュース」より、ジューン・アリスンベアとピーター・ローフォードベア。レタードカーディガンのイメージです。ヴィンテージのバッジをつけて。

 

でも、「若草物語」の残り3姉妹をアンティークのコットンで作ろうと材料を用意したあたりで、なぜか飽きてしまいました。

まだ三十代だったので、仕事が忙しくなってクマさんどころではなくなってしまったのかもしれません。

そのままこれらのクマさんたちはうちの戸棚の中で長い眠りについていたのですが、その後実家に持って行って、今は実家のピアノの上で母の毎日を楽しませているらしいです。

 

 

手芸が好きで、いろいろなものを作ってきました。このムービーベアもそのひとつではあります。

いろんなかたから、「すごい」「うまい」「玄人はだし」と褒めてはいただけるのですが、しょせんシロートの趣味にすぎません。

「玄人はだし」と「玄人」の間にはものすごい距離があります。

やりたいことだけやって、イヤになったり飽きたらやめちゃう。何の責任も負わずに自分の愉しみだけでやる。それがシロート。いくらうまくても「玄人はだし」にしかなれません。

本当のプロとは、それで対価を得て作ったものに責任を持つこと。それを生活の糧にしていくこと。

そうやって考えると、いままで自分の手芸作品でお金をいただいたのは、最近展示会を始めた仕覆だけです。仕覆だってとてもプロとは言えませんが、それでもプロの世界の厳しさを少しだけ知ることができました。

今となってこれらのクマさんたちを見ると、懐かしいようなむずがゆいような、不思議な気分になるのです。

シロートには「好き」から生まれる強さがあるな、と。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

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