マンション専門家による、マンション総合情報サイト

LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2017/11/6

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

今年の展示会の出品作のために作った桐箱。箱書きが楽しいです。

 

物ごころついて、古いものに興味が出て来たころ、実家の押し入れや戸棚をあけて、そこにしまってある古い箱などをあさるのが好きでした。

大したものはないのですが、祖父はそれなりに骨董が好きで、そこには古い茶碗や鉢などの道具がカビ臭い桐箱に入ってしまわれていました。

「欲しい」といえば学生だった僕にもくれるような、ガラクタに近いようなものばかりですが、古い桐箱に入った茶碗や皿は、箱に入っているからこそなんだかとても大切なもののように思えました。

 

大人になって骨董を買うようになっても、お店で骨董を選びいざ買う段になって、お店の人が奥から「こんな箱が付いています」と言って桐箱を持ってきてくれると「ラッキー!」ってかんじ。

ちょっとだけいいものが買えたような気がするのです

 

日本の骨董の世界ではとりわけ箱を大切にします。昔から箱書きといって蓋の表や裏に作者や蔵者などが書きつけをしたり、それが重要だったりするとそのうえにまた箱をこしらえ二重箱にしたり・・・。

毎回言うようですが、箱もまた、そのものがいかに愛されたかを表しているのです。

ということは、中身だけでなく箱もまたそのお道具の価値や来歴を雄弁に語ることにもなる。よくテレビの鑑定番組で「いい箱ですね―――」とか「もし箱があれば・・・」とか言っていますが、そういうことなんですね。

 

それに対して外国は現物主義。ヨーロッパやアメリカの美術館などでは昔は、日本美術の箱などみんな捨ててしまったといいます。

日本の「箱信仰」は世界でもかなり特殊な文化のようです。

 

 

 

タイトルページの桐箱の中身はこれ。仕覆に入った「藍柿手鮎流水文長皿」

 

そんなわけで、特に仕覆を作るようになってからは、裸の道具を買ったとしてもそれに仕覆をあつらえ、そして桐箱をあつらえるようになりました。

「隙間三分」と言い、箱の大きさは道具の大きさから三分(約9ミリ)の余裕を見て作ります。小さいものだと、もっと隙間は少なくします。

ピッタリの桐箱に入った道具はとても素敵に、格段にいいものに見えるのは親の欲目でしょうか。

さらに、蓋に箱書きをして掛け紙をかける。興が乗ればさらに風呂敷を作りそれで包み、木札をぶら下げます。

ここまですると、「立派なお道具」に見えてくるから不思議です。

 

 

 

仕覆を作り桐箱をあつらえた藍九谷の角皿2客。

 

もちろん、箱の本来の役割は「保護」です。

仕覆もクッションですし、桐箱も衝撃から中身を守ってくれるのは当然ですが、驚くのは桐という素材は火にも強いんだそうです。

もちろんガソリンをかけたような大火にはもたないでしょうが、ちょっとの火にかざされただけなら桐箱の表面だけが真っ黒に炭化して、それ以上は燃えないのだとか。

かくに昔の人がやってきたことはいろんなメリットがあるんだと感心します。もちろん、試してみたことはありませんが。

 

 

ソレイヤードの蜂柄の木綿で風呂敷を作り、木札をぶら下げた箱。

 

中身は古いヨーロッパ更紗の仕覆に入ったデルフトの見立て茶碗。

 

 

突然ですが・・・・、

僕は恥ずかしながらひとり身ですので、僕が死んだ後の遺品の整理は、たぶん弟がしてくれることになると思うのですが、残念ながら僕の弟は、骨董などにはまるで興味がありません。

僕が買い集めた骨董の器などを裸のまま置いておいたら、もしかしたら「きたない茶碗!!」とか言ってそのまま捨ててしまうかもしれません。

しかし、仕覆をあつらえたり、桐箱に入れたり、箱書きをしたりしておけば、よもや彼も捨てやしないだろう、と。

もちろん冗談ですが、半分は本気です。

自分の「愛着」を表現し、愛したものに添わせる。

箱にはそんな意味もあるのです。

 

 

 

アンティークのバカラにも桐箱を。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり についての記事

もっと見る