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LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2017/10/16

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

一番好きな松のお盆。金継の唐津茶碗で、チョコレートを。

 

お盆や折敷(おしき)をよく使います。

そもそも、日本人は畳の生活ですから昔はテーブルなどなく、食事などの器はお膳や折敷に載せて、それを畳あるいは床に置いて使っていたのでしょう。昭和をほうふつさせるちゃぶ台も、生まれたのは明治時代末なんだそうです。

茶事などでは銘々に折敷が出て、そこで懐石をいただきますし、料理屋さんなんかでもテーブルの上に折敷を置いてそこにお料理を出してくれるところもあります。

でも、我が家のお盆使いはちょっと意味が違うような気がします。

 

我が家には大きなテーブルはひとつしかなく、ほかにはデスクもありません。イギリスのアンティークの伸長式なんですが、それしかないということは、ダイニングテーブルとして使う以外に、作業机にも仕事机にもしなくてはなりません。

仕覆作りなどの作業のあいまに、さて、「ここいらで一服」、あるいは「そろそろご飯」というときがあります。そんなときテーブルいっぱいに広げた材料や道具はそのままに、少しだけ場所を作り、そこにお盆を持ってきます。

ほんとうはキチンと片付けて、ダイニングテーブルの状態に戻してから食事なりお茶なりしたいのですが、そんな時間ももったいなく、またすぐに作業に戻りたいため片付けたくなかったりするし。

 

 

朱塗りの隅切折敷で軽く質素な食事。左奥はハゼと麩の甘露煮。名古屋の料理です。

 

たまにはベッドで朝食を。自分で作って、自分で運んで、自分で食べる。

 

あるいはテレビを見ながら、あるいはベッドの上で、ちょっと何かを食べたくなったり、お酒を飲みたくなったりすることもあります。

そんなときも、お盆の出番です。

お盆に一式載せて運んで来れば、それだけでその場所がダイニングにも、カフェにも、茶室(おおげさですが)にもなるのです。

 

そのためにはお盆の内側に、できるだけ「世界」を作るようにしています。器のイメージや料理やお菓子に出来るだけ統一感を持たせます。素材やデザイン・色を吟味し、そこにストーリーを生むのです。

 

そんなわけで、僕はひとり暮らしには多すぎるほど様々な種類やデザインのお盆や折敷、トレ―を持っているのですが、そんなにかさばらないのがいいですね。キッチンの棚に、何枚も縦に立てかけて収納しています。

 

 

タイで買ってきた籐のお盆で中国茶のしつらい。オランダの染付の茶碗やデルフトのタイルなど。

 

お盆は結界。

ちらかって忙しい日常から区切られた、そこだけは別世界。

お盆の内側だけを見れば、心は自由に様々な場所に遊ばせることができる。

 

戦国時代、武士たちは刀を外し、蹂り口(にじりぐち)という結界を超えて茶室に入り、戦にまみれた日常から離れ、全く別の時間・空間に心を解き放っていました。

僕のお盆はそこまで大それたものではありませんが、(僕の日常もそこまで決死のものではありませんが)それでも、意味や効果はそれに近いものがあります。

インスタなどSNSに載せるときも、お盆の周りだけ写してればそれなりに片付いて見えますし、ね?

 

 

根来の四ツ碗で懐石料理ふうに。折敷は杉のめはじき塗り。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

 

骨董、クラフト、グラフィック、ヴィンテージテキスタイル、ヴィンテージクローズなどを長年にわたり収集。また、テディベア、帽子、洋服などを手作りする。現在は仕覆作家としても活動。

 

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