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オープンキャンバス2017/10/16

皆さん、こんにちは。マンションマイスターこと不動産鑑定士の石川です。

7回までの講義はいかがでしょうか。

 

特に各論に入ってからは、マトリックスを埋めるために、いろんな項目を矢継ぎ早に説明していきました。

前回まででマトリックスの1段目、「4つの性格」のうち

1.「安全性」

が終わりましたね。

 

今回と次回は、チェンジ・オブ・ペースとして補講を行います。

あまり文字の羅列が続くと疲れてきますので、補講はビジュアルや、会話形式で進めていきますので、気軽に参加してくださいね。

 

さて、このブログについて皆さんからいろいろと感想を頂くのですが、特に反響が大きかった回があります。

第5回 「マンションの価値を現すマトリックス表を埋めていこう 各論②」

です。

この第5回では、

1.「安全性」× A.「エリア・立地に関する要因」

のマトリックスを埋めるために、いろいろな土地に関する行政情報を見ていきました。

 

ここについて、「もう少し具体的に見てみたい」という感想が多くありましたので、今日の補講では具体例を見ていきます。

 

 

こちらのマンションを例にとりましょう。

『朝日ラ・パリオ等々力台』

 

所在:東京都世田谷区等々力台3

交通:東京急行電鉄大井町線「等々力」徒歩5分

築年:1996年10月/築20年

総戸数:38戸/9階

分譲会社:朝日建物

施工会社:地崎工業

マンションライブラリのマンション紹介ページです。

 

では、このマンションを例に環境情報を探してみましょう。

 

1.『表層地質図』

表装地質図とは、地層の良否の参考になるもの。国土交通省が「5万分の1都道府県土地分類基本調査」として公開しているもので、表層近く深さ数m~数10m程度の地層がどんなものかを表したものです。

国土交通省の調査は昭和27年から順次更新を行ってます。層の違いによって地盤の強弱がおよそ分かり、古い地層を「洪積層」、新しい地層を「沖積層」といいます。

新しい地層(沖積層)は約1万年~現在に至るまでに形成された地層。それに対し、古い地層(洪積層)は約100万年前~約1万年前までに形成されたもので、新しい地層(沖積層)に比べて硬い地盤と言われています。

国交省のホームページから見られます。

 

実際に見ると、以下のようになります。

 

地図を見て、マンションの敷地に該当する色を見ます。茶色とピンクですね。この色が何かを現すかは「凡例」を見ます。

 

 

すると、凡例からは、この層が「下末吉(しもすえよし)ローム層」と言うものに該当すると分かります。この「下末吉ローム層」は関東ローム層の一つです。関東ローム層は、堆積している河成段丘や海成段丘の形成時代順に区分されていて、南関東では、古いほうから、多摩ローム、下末吉ローム、武蔵野ローム、立川ロームの4層に区分されています。下末吉ローム層は、15万年前~7万年前に出来たと言われ、古い地層の「洪積層」に該当します。

 

教えて!マンションマイスター!Q&A

 

「地層の違いによって地盤の強弱はあるのですか?」

「表層の地層が硬ければ丈夫な地盤で地震に対して抵抗力があります。」

 

「なぜ古い洪積層の方が、新しい沖積層より硬い地盤が多いのですか?」

「実は専門学的な深いテーマなのですが、一番簡単に言いますと、地盤は時間ともに固くしまっていき安定していくからです。」

 

 

「地盤が新しい地層の沖積層のようですが、このマンションは危険なのですか?」

「一般的に地盤が堅固なほうが、地盤が軟弱な場合より建築に適しているといわれています。しかし、軟弱な場合でもマンションを建設する場合は堅固な地盤まで杭を打ったり、地盤を改良したりするなどして、確実に支持するようにしますので、必ずしも構造的に危険というわけではありません。」

 

 

2.『土質柱状図』

土質柱状図とは、地盤の良否の参考になるもの。ある地点の地質断面図の事で、ボーリングなどの地質調査を行い、その結果を示したものです。

断面的な地質の構成や、地層の堅さなどがわかります。建物を支えるだけの耐力のある地盤の事を「支地盤」と言い、通常、この地盤まで杭や基礎を設置することで安定した構造とすることができます。この「土質柱状図」によって当該マンションの周辺において、地盤の構成、硬弱、支持地盤がどの深さにあるのかがわかります。但し、表示されているのは過去に実際に調査してデータとして提供されたポイントのみですので、あくまで周辺の参考データとして見てください。地下の地盤は数m離れると異なる場合もありますので、注意が必要です。

行政が公開していて、東京都ですと、東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページから見られます。

 

実際に見ると、以下のようになります。

当該マンションのピンポイントではありませんが、その周辺のデータを見ることが出来ます。距離的に近い赤丸の「13番」というのを見てみます。

 

この「13番」の土地では、地下約25m付近に、堅固な層があると分かります。

但し、説明でも書きましたとおり、あくまで周辺の参考データとして見てください。地下の地盤は数m離れると異なる場合もありますので、注意が必要です。

では実際の当該マンションの支持地盤の深さは何を見れば分かるかというと、建物の「構造図」です。マンションは建築時に「実施設計図」というものが作成され、これに沿って建築されます。実施設計図は「設計図」「構造図」「意匠図」の3つの部分に分けられており「設備図」は設備について、「構造図」は構造について、「意匠図」は総合的な建築の設計図をまとめたものです。多くは管理組合で原本を保管しています。

 

教えて!マンションマイスター!Q&A

 

「支持地盤って何ですか?」

「杭をを使って建物を支えるだけの耐力のある地盤のことです。支持杭基礎とする場合は、通常、この地盤まで杭や基礎を設置することで安定した構造とすることができます。」

 

「支持地盤が浅いか深いかで災害時の危険が変わりますか?」

「大事なのは地質調査を行い、きちんと支持地盤まで杭を打っていることです。きちんと杭を打っていれば支持地盤の浅い・深いは危険性に問題ではありません。ちなみに、支持地盤が深いと、建物の建築コストが余分にかかります。」

 

 

 

3.『液状化予測図』

液状化予測図は、液状化の可能性の参考になるもの。どのくらいの地震で地面が液状化するのかを段階別に予測したものです。液状化とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる現象で、液状化により、比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりします。

これも東京都ですと、東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページから見られます。

 

実際に見ると、以下のようになります。

 

凡例を見ると

となっていますので、液状化の可能性が低いと分かります。

 

教えて!マンションマイスター!Q&A

 

「そもそも液状化とはなんですか?」

「地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる現象です。」

 

「従前の土地利用状況と液状化は関係があるのですか?」

「埋立地や田んぼ、池沼だった場合は土壌が安定していなかったり、地下水位が高い可能性があります。」

 

「液状化になるとどんな事態になるのですか?」

「液状化により、比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりします。」

 

 

では、時間がきましたので、補講の前半はここまで。

次回は後半ですよ。

お楽しみに!

マンションマイスターの石川でした。

 

 

 

石川勝

不動産鑑定士

東京カンテイにてマンションの評価・調査に携わる。中古マンションに特化した評価手法で複数の特許を取得する理論派の一方、「マンションマイスター」として、自ら街歩きとともにお勧めマンションを巡る企画を展開するなどユニークな取り組みも。

 

 

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