住めば都も、遷都する2020/11/11

あなたの友人にもいるだろう。趣味が高じて、ひと部屋すべてを「ホビールーム」にしてしまった人が。部屋に招かれると、コレクションがずらりと並んでいる。

 

ほめると、嬉しそう。そう、礼儀ですよ。ともかく、彼あるいは彼女には、「すごいな」とか「かわいい」を連発しよう。

 

家族全体で応援していることもあるし、「まあ、しょうがないか」としぶしぶ受け入れていることもある。ひとまず、趣味に打ち込んでいる友人を喜ばしておこう。あんなに生き生きとしているのだから…。

 

いずれにしても、趣味の部屋を持てるだけの空間があることは幸せなこと。それに家族円満の源でもある。たとえケンカをしても、その部屋に少しこもっていれば、やがてニコニコして表れるわけだし。家族としては、安心である。

 

 

住まいによって、新しい趣味が始まることもある。例えば、窓からの風景があまりに良いので、絵を描きたくなる。そんなこともあるだろう。

 

「南に向いていて、アトリエにしては光が入りすぎるけれど、居心地が良いので暇なときは、キャンバスに向かうんです」。

 

この人は、ラッキーである。打ち込めるものを見つけたのだから…。住めば都も遷都する。趣味のために新しい住まいに引っ越すのは意欲的。そして、住んだ家に刺激されて何かを始めるのも、これもまた素晴らしいと思う。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書に『女と夜と死の広告学』(晃洋書房)『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる力」』(明日香出版社)『偶然ベタの若者たち』(亜紀書房)他。論文に「記号としての心臓 なぜ、血液のポンプが、愛の象徴になったのか」「映画に描かれた『料理』と『食事』の4類型」「月の絵本 無生物とのコミュニケーションを描いたナラティブ」(いずれも『コミュニケーション科学』)他。

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