住めば都も、遷都する2020/10/12

わが家にいくつの時計があるだろう。身につける時計は別としても、居間、書斎、寝室、台所、洗面所…など、あちこちに置いてある。

 

アナログもあれば、デジタルもあるはず。いずれにしても、最近では、スマホで時刻が分かるから、時計なんて不要でもあるのだが。

 

子どものいる家庭では、アナログ時計を必ず用意するようにという研究もある。デジタルだけだと数字は読めるが、時間の経過というイメージが生まれにくいというのだ。

 

確かに、アナログ時計だと、あと15分で昼休みも終わりか、オフィスに帰ろうといったことが、一瞬で感じ取れる。アナログ時計は、針が形作る空間配置のようなもので、瞬時に感じ取ることができる。

 

もっとも、小さい頃から、デジタル時計で暮らす今の子どもは、研究者が何と言おうと、アナログ時計なんかいらないと思うかも知れない。

 

 

デジタル表示は、「いま」が何時かというという点が強調される。例えば、王宮にいたシンデレラが、「あっ、家に帰らないと…」とあわてて出て行くとき、大広間の時計は、「11:59 p.m.」と、デジタルの方が切迫感はあるけれど。

 

約50年前、アポロ計画で、月に宇宙船を飛ばしたときの管制室の写真を見ると、3つのアナログ時計が壁に掛かっている(画面が小さくて断言はできないが、恐らく計器ではなく時計)。いまだったら、正確なデジタル時計があるべき場面だろう。

 

住めば都も遷都する。あなたの住まいでは、時間はどんな形で流れているだろうか。アナログにしろ、デジタルにしろ、ゆったりと時を過ごせる空間こそ、自宅には好ましいことは確かである。

 

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書に『女と夜と死の広告学』(晃洋書房)『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる力」』(明日香出版社)『偶然ベタの若者たち』(亜紀書房)他。論文に「記号としての心臓 なぜ、血液のポンプが、愛の象徴になったのか」「映画に描かれた『料理』と『食事』の4類型」「月の絵本 無生物とのコミュニケーションを描いたナラティブ」(いずれも『コミュニケーション科学』)他。

 

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