住めば都も、遷都する2020/9/7

ドバイの超高層ビルの高さは地上828メートルだとか。高尾山は標高599メートルだから、東京の低山よりも天に近い高さだ。そこまでいかなくても、マンションの上の階に住むと、空が広くて気分がいい。

 

太陽が昇リ、沈む。昼間は、雲が動いていく。月や星の姿も、地上よりも近く感じてしまう。何より、空を見ていると、気分が晴れ晴れとするのは良いことである。

 

夜景を見下ろせるのも、高層階の良さだろう。東京なら、西を見れば、富士山に沈んでいく夕日を見ることもできる。

 

お隣のビルを眺めていると、ビジネスのリズムを感じられる。あの部屋は、いつも遅くまで明かりがついているけれど、最近は早いなとか。休憩コーナーなのかしら、窓に向かって何かを手に持っている人がいる…など。

 

 

いや、地面の近くに住む方が落ち着くよという人も多い。窓を開ければ、朝は鳥の声、夜は虫の声が聞こえて…目の前に樹木があるのは嬉しいことである。

 

低層階に住む人は、「雨の音が聞こえるのがいい」という。高層の部屋よりも、視覚以外の聴覚や時には嗅覚などの出番が多いのかも知れない。

 

住めば都も遷都する。私たちは、都会のどのあたりに住むかだけでなく、どの高さに住むかということも選ぶことができる。住まいとしてどの高さを好むのか。それは、その人の性格や考え方を表すのかも知れない。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書に『女と夜と死の広告学』(晃洋書房)『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる力」』(明日香出版社)『偶然ベタの若者たち』(亜紀書房)他。論文に「記号としての心臓 なぜ、血液のポンプが、愛の象徴になったのか」「映画に描かれた『料理』と『食事』の4類型」「月の絵本 無生物とのコミュニケーションを描いたナラティブ」(いずれも『コミュニケーション科学』)他。

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