住めば都も、遷都する2020/6/12

開口部が大きいと、それだけで、心がオープンになる。窓という字は、元々、「窻」と書いたようだ。真ん中の部分が、天井に開けた穴を表したという。まさしく穴居時代の開口部である。

 

光に満ちた部屋、まわりには緑が見える。街が広がる。空がどこまでもある。私たちには、気持ちをストレッチする時間が必要らしい。とくにこんな時期には。

 

先日、「ベニス ライブカメラ」と入力して検索をしてみた。サン・マルコ広場のライブ映像は、明るい初夏の日射しだった。ただ、歩いている人は数人。白いリアルト橋を見てみる。橋を渡る歩行者は少ない。船が時々、通るが、静かな午後である。

 

ディプレイの画面一杯に、ライブ映像を流すと、そこにも窓があるように思えた。「ああ、家にいながらも、ベニスのホテルにいる感じ」などと、ご満悦である。

 

一方、開口部が小さいと、落ち着く空間ができる。明るい日射しのもとで読む小説も良いが、閉じこもって、やや難解な本をめくるのも悪くない。考えながら、少しずつ読む。一日、数頁のペースが似合っている。

 

 

窓の小さい部屋で音楽を聞く。ジオラマを作る。編み物をする。絵を描く。人はそれぞれ、閉じこもって、何かやりたいことがある。

 

住めば都も遷都する。住まいには、メリハリがあると楽しい。大きな開口部の部屋、やや薄暗いが落ち着く空間。光を調節することで、私たちは自分のメンタルな部分を整えているのだろう。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

 

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