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住めば都も、遷都する2017/9/15

考えてみれば、すでに年間のほぼ3割が、休日である。有給休暇を使うならば、ホリデイ日数は、もっと増える。かつての貴族のようなのんびりした時間が、すでに3割以上、手に入っているのである。もちろん、将来、引退をすれば「10割貴族」になれる。だが、それ以前でも、私たちは、「3割貴族」なのだ。

 

実態はどうだろう。「時間的ゆとりがある方」という50代男性は56.7%、女性は66.6%である(2016年・博報堂生活総合研究所調べ 以下も同様)。半数以上の50代は、時間的には余裕を感じながら生活をしている。

 

とはいっても、「休日の余暇の過ごし方を重視している」という率は、50代男性29.9%、50代女性22.3%という結果だ。「平日の余暇の過ごし方を重視している」は、もっと低くて50代男性6.0%、50代女性13.6%である。この数字、ちょっと悲しくならないか。

 

多忙さと折り合いをつけて、もう少し、時間のありがたみを感じたい。もし、そう思ったら、環境を変えてみるのはどうだろう。できあがってしまった日常のリズムは、それはそれで、心休まる。だが、惰性に陥っているともいえる。50代であれば、体力もエネルギーもある。いまこそ、惰性を断ち切っておくチャンスともいえる。

 

いっそ、住まいを変えてみたい。まず、使う交通機関が変化する。よく行くレストランも違ってくるだろう。ショッピングにも、新しい発見がある。そう、品揃えのいい書店も見つかるだろう。夜にふらっと、ひとりで、あるいは夫婦で飲みに出たくなるバーが近くにあるかも知れない。さあ、月夜のホリデイだ。

 

 

運動不足だった人は、歩くのに心地よい散歩道に出会うに違いない。いや、いまだってあるのだが、慣れすぎて刺激を受けなくなっている。新しい土地で、散歩に向いたルートを発掘する楽しさを思い出そうではないか。

 

転居のいいところは、いま住んでいるところで、面倒だなと思う人間関係を断ち切れることにもある。いうまでもなく、気に入った人とは、これからも、連絡を取り合って会えるのだ。

 

何より、住まいが変われば、窓から見える風景が一新される。不思議なことにそれだけで、家族の空気感もフレッシュになる。空間のありかたによって、私たちの心は動かされる。とくに、無意識の思いが微妙に変わってくる。家庭にも、笑顔がもっと増えるだろう。

 

昔の貴族が、当時の実業の人々と違っていた最大のポイント。それは、日々の生活を集中して楽しむこと自体が「目的」になっていたことだ。好きなことに打ち込むと、時間のたつのを忘れてしまう。そうした高揚感を、アメリカの心理学者チクセントミハイは、「フロー体験」と呼んでいる(『フロー体験入門 楽しみと創造の心理学』大森弘訳 世界思想社)。

 

そう、「3割貴族」として、1年間365日のうち、120日以上、フローな高揚感を味わえたら嬉しいではないか。老後が不安といった気持ちを抱くのは、いまという時間を十分に味わっていないからだといわれる。「3割貴族」で予行演習をしておけば、「10割貴族」になっても、毎日が新鮮に送れることはいうまでもない。

 

 

関沢英彦

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

https://ameblo.jp/ideationconsultant/

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