住めば都も、遷都する2020/5/27

遠出をしないで、家の近くを散策することが増えた。いままで気づかなかった「ご近所の魅力」を見つけられるので、それはそれで楽しい。

 

この道沿いには「お地蔵さんがいる」とは覚えていたが、じっくりと眺めたことはなかった。ブッダの入滅後56億7千万年後に表れるという弥勒菩薩。そんな先まで待てないよと言うことで、地蔵菩薩が登場したという。

 

ということは、元々、仏像なのだが、やがて民間信仰の対象になったとか。町外れに立てられることが多かった。

 

映画『となりのトトロ』で、娘のメイがお母さんの入院している病院に行こうとして迷子になる。6体の地蔵の前でメイが途方に暮れている。すでに夕方で空が赤い。遠くには、高圧線の塔。ちょっと寂しくなるシーンだった。

 

お地蔵さんより、地味だが、庚申塔(庚申塚)を見つけることもあるだろう。そう、都電荒川線には庚申塚という駅もある。

 

 

こちらは、中国の道教による庚申信仰にもとづいて作られた塔。人間の体内には「三尸虫(さんしちゅう)」と呼ばれる虫がいて、60日に1回やってくる庚申の夜、寝ている人から出て、天帝(天の神)にその人の悪事をご注進に行くのだという。

 

民衆は、そうはさせまいと庚申の日は夜通し、宴会などをして起きていた。江戸時代、庚申塔は各地に作られている。ちなみに「寅さん」の出てくる柴又帝釈天は、庚申信仰の中心地だった。

 

家にいる時間が増えると、色々と調べてしまう。住めば都も遷都する。どの住まいの近辺にも、歴史がある。時間の積み重ねの上に、いまの「ご近所」が成り立っているのだなと実感できたのは、何となく嬉しい。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

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