住めば都も、遷都する2020/2/12

あなたの住まいの近くに、夜景自慢の場所はあるだろうか。「いえいえ、家から出なくても、窓からの夜景が素晴らしい」という方もいるだろう。

 

夜景は、漆黒の闇に明かりが描く絵画かも知れない。大昔、人々が洞窟に暮らしていた頃、遠くの洞窟のたき火は、月や星とともに当時の夜景を形作っていた。

 

やがて提灯などの時代があって、電灯になる。電気が普及しだした頃は、アーク灯で建物を照らすとか、街灯の点火式とか、夜に光がやってくるだけで人が集まるイベントになったという。

 

海外からの到着便が夜間であると、地上の光がだんだんと近づいてきて、「帰ってきたな」という実感が強まる。やがて、道路を走るクルマの明かりが見えて、臨海工場地帯の白い輝きの連なりも目に入る。「ああ、着陸だ」と思ってホッとする。

 

夜景は、どうして懐かしさを伴うのだろう。光のあるところに人がいる。そうした思いがあるからだろうか。

 

 

最近、街灯がLEDになってきた。明るくて事故や犯罪も減りそうな気がする。でも、時々、電球のやや薄暗い黄色の光線が恋しいときもある。

 

住めば都も遷都する。明るい昼間だけでなく、夜も歩いてみるとその街の良さがもっと見えてくる。夜景の向こうには、住んでいる人々の生活があるのだから。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

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