美的 Life Style by 花千代2020/1/29

 

 

 

昨年のクリスマス休暇で初めて訪れたインドで日本をはじめ先進国では決して見ることができない様々なことや物を見て、ある意味ショックを受けました。それはカースト制度の階級の外にいる人々の生活についてです。

 

インドの独立に伴って1950年に制定されたインド憲法17条にカーストによる差別の禁止が明記されたにも関わらず、実際のところ今日も至る所でカーストが原因とされる差別が確認されています。憲法上でうたっていることと現実は全く違い、やはりインド社会には昔から根付いたカーストという概念は生き続けていました。

 

人口13億のインドで、いわゆるダリッド(不可触民)といわれるアンタッチャブルは約2億人いるといわれ、カーストの枠から外れた階級を持たない人々で家もなく路上で寝泊りしています。

ダリッドたちは死人や家畜の糞尿、屠殺など不潔とされる仕事を代々うけつぎ、不潔なものに触ることは人間の精神を汚れさせる、という考えを持つヒンドゥー教において他の階級の人々からは蔑まれ、暴力を振るわれ、むげに扱われてきたのです。

 

今回首都のデリーでも、地方のジャイプールやアグラでもそのような不可触民の人々をたくさん見ました。

冬は3~6度ぐらいまで冷え込むデリーの路上で裸足で物乞いをしている腕や脚のない子供や、瘦せ衰えた赤ん坊。

 

 

 

 

 

ヒンドゥー教では輪廻転生の考えが根本にあります。現在の階級は前世のカルマによるものであり低い階級に生まれたのも前世で悪い行いをしたから、現世では前世の罪の償いをし耐えることで来世には上の階級に行ける、という考えが幼い子供に至るまで沁みついています。

劣悪な環境の中、裸足で物乞いをする子供たちの瞳にあるのは怒りでも恐れでもなく、ある種の諦観でした。

 

 

 

 

 

そのような立場の人々と対極であるカースト制度で一番上の階級バラモンの生活ぶりも垣間見ることができました。

ジャイプールで泊まったのが、かつてのマハラジャの邸宅を改装したマハラジャホテル。その豪奢なこと、美しいこと! しかしホテルを一歩でるとゴミの山の路上で暮らしている不可触民と人口過密の喧騒の街。この落差の凄まじさがインド!

まさに天と地、同じ人間でありながらここまでの差で生きる人々の国インド。色々なことを考えさせられる旅となりましたが、爆発的な人口が生み出すパワーや独特の宗教観、建築や伝統工芸の美しさ、インド料理の美味しさ、など魅力が沢山ありぜひ再訪したい強烈な印象の国となりました。

 

 

 

 

 

 

次は南インドのマドラスやカルカッタあたりへ行ってみたく来年の旅の第一候補とします。

ある意味旅は、企画して勉強したり準備したりしている間から始まっているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花千代 フラワーアーティスト
パリにて4年間フラワーデザインを学ぶ。
帰国後、CMや映画のスタイリング、イベント装花や店舗ディスプレー、ホテルのフラワーアートディレクションなど多岐わたって活躍。
2008年洞爺湖G8サミット公式晩餐会会場装花、2013年オランド仏大統領総理官邸公式ランチョン、APEC総理公邸晩餐会で和のテーブル装花なども手がける。
2013年、2015年と夏目漱石原作芝居「三毛子」と「「こころ」の舞台美術を、2016年新作「乙姫さま」の舞台美術をそれぞれ三越劇場にて担当、テレビ東京「ソロモン流」NHK「グランジュテ」などTV出演、ジュエリーや家具、シューズデザインなどコラボワークも多い。
近著に「花千代流テーブル&フラワースタイリング」誠文堂新光社

Hanachiyo Flower Design Studio  http://www.hanachiyo.com/

https://www.facebook.com/Hanachiyo

 

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