住めば都も、遷都する2020/1/13

この国では、古墳時代から蒸しておもちを作っていたといわれる。私たちと、おもちは長い関係のようである。もっとも今では、おもちのレシピによれば、オニオングラタンを作るとか、チョコをかけてデザートにするとか、色々な食べ方が工夫されている。

 

だが、誰もが、幼い頃の伝統的なおもちの思い出をもっているのではないか。おもちを焼くのは楽しい。膨らんできて、次の瞬間、プワーッと山になる。まわりを見ると、その直前が良いという人と、膨らんでしまったのがおいしいという人がいる。

 

お雑煮は、苦手だった。せっかくのおもちが、溶けてしまうのがいやで、別に貰っていた。形だけ、お椀の脇に置いて。おめでとうございますとか、言っていた。

 

 

住めば都も遷都する。和風でなければ、おもちが似合わないと言うことはない。全室洋間で、食卓がテーブルであっても、焼いたおもちや塗りのお椀が出てくると、日本という感じが強まる。

 

『枕草子』に、「餅(へい)だん」というおもちの間に鴨と煮た野菜をサンドした食べ物が出てくる。清少納言よりもずっと位の高い男性が「部下」を装って、女官にプレゼントを持参させたのである。白い紙に包んで、白梅の枝も一緒であった。

 

清少納言は、赤い紙に紅梅を付けて、返事を書いた。「あら、自分で持ってこない部下なんて、『冷淡』ね」と。「冷淡」は「餅 (へい)だん」に対するダジャレだ。その男性は、すぐにやってきた。「下っ端が参りました」と言いながら…。おもち一つでも、冗談は言いあえる。そんな形で新年が始まると嬉しいな。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

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