マンションに関する疑問や悩み ありませんか?2020/1/14

マンションは時間とともに劣化していきますので、いつかは修繕したり建て替えたりする必要が生じてきます。

もちろんマンションを購入すれば、そのマンションに住む権利を得られる一方で、管理や修繕の義務が発生します。

そこで、毎月管理費や修繕積立金を支払うことになりますが、もしマンションを建て替えることになった場合には費用を負担しなくてはなりません。どのタイミングで建て替えることになり、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

 

 

マンションにも寿命がある!建て替えのタイミングとは?

建物は時間の経過や自然の影響によって劣化していきますし、災害のリスクもあり、マンションに寿命が訪れることがあります。

一度購入したらいつまでも住み続けられるように感じてしまいますが、こうした理由で建て替えをするなど、マンションを離れることになるかもしれません。特に新耐震基準を満たしていないものに関してはマンションの耐久性も低く、建て替えや取り壊しの可能性があります。

 

耐震基準に関しては1981年6月1日に建築基準法が改正された際に新基準となりました。つまり、築40年近いものは旧耐震基準にあわせて建てられていますので、建て替えが必要となる可能性があります。実際には建築されてからどのくらいの年数が経ったタイミングで建て替えられているのかと言うと、「マンション建替え寿命」にデータがあり、全国の建て替え事例202件の築年数と都府県をまとめています。

これを見ると、建て替えられたマンションの築年数は、全国平均33.4年となっています。

 

都府県別 建替え物件の築後経過年数分布

 

都府県別建替え物件の築後経過年数分布

 

出典:東京カンテイ「マンション建替え寿命

 

建て替え費用は住民も負担する

建て替え時期の全国平均は33.4年とだけ聞くと、不動産の管理者が勝手に建て替えてくれるように感じますが、住民(区分所有者)も建て替えにかかる費用を負担しなくてはなりません。

当然のことですが、住民にはマンションの管理や修繕に対する義務があるのです。負担額は近年増加傾向にあり、竣工年が2001年までの物件の場合は1戸当たり平均350万円ほどでしたが、2012~2016年には1戸当たり平均1,100万円まで上昇しています。もちろんマンションの大きさやグレードなどによっても異なりますが、目安として1戸当たり約1,000万円かかると考えておくと良いでしょう。

 

住民(区分所有者)の平均負担額

 

出典:国土交通省「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」をもとに作成

 

ただし、旧耐震基準で建築されている物件に関しては1戸当たりの費用負担が少なくなる可能性があります。ポイントは容積率です。

容積率を簡単に説明すると、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。建築基準法ではエリアによって容積率などが決められているのですが、この容積率に余裕がある場合、つまり増床できる(部屋数を増やすことができる)のであれば、増床した分の部屋を売却し、その金額を工事の費用に充てることができるのです。

旧耐震基準かつ、容積率に余裕がある物件の場合には住民の費用負担がほぼゼロで建て替えができた事例もあります。

 

建て替えに賛同できない場合は売却の選択肢も持っておく

一部を除き、建て替えには高額な費用がかかることから、建て替えに賛同できない方も少なくないでしょう。ただし、ここで1つ知っておくべきこととして、自分の意思にかかわらず建て替えが決定してしまう可能性があるということです。というのも、住民の5分の4が賛成すれば建て替えることが決定してしまうからです。その際は自分が反対していたとしても、立ち退くか建て替え費用を負担するかしか方法はなくなってしまいます。どうしても建て替えに賛同できない場合には、その部屋を売りに出すという選択肢も持っておく必要があるでしょう。

 

建て替えは進まないことが多い

強制的に建て替えとなる可能性もありますが、それはごくまれなことです。多くの場合、マンションの購入費に加えて1戸当たり1,000万円もの費用を支払うのは非常に大きな負担となってしまいます。そういったこともあり、住民(区分所有者)の集会で5分の4の賛成を集めるのは難しいでしょう。特に高齢者の方の中は住宅ローンを払い終え、年金で管理費を払うなどして暮らしていて、建て替えにかかる費用を負担できない方も少なくないでしょう。さらに、建て替えをするとしても工事中に暮らす場所がないと不満を漏らす方もいます。

実際のデータを見ても、建て替えが行われている例は非常に少ないです。平成30年4月1日の時点で、建て替え工事が完了しているのが、237棟となっています。

 

マンション建替えの実施状況

 

出典:国土交通省「マンション建替えの実施状況」をもとに作成

 

ただ、この数字だけを見ても、少ないかどうかは客観的には判断できません。そこで下記2つの表を基に全国に何棟くらいあるのかを概算してみましょう。

 

マンションにおける住宅部分の戸数

 

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」をもとに作成

 

マンションストック総数

 

出典:国土交通省「分譲マンションストック戸数」をもとに作成

 

上の表を確認すると、1棟につき平均で96.7戸であることが分かり、下の表では平成30年度の段階で全国のマンションは654.7万戸あることが分かります。

 

6,547,000(戸) ÷ 96.7(戸/1棟) = 64,704(棟)

 

概算ではありますが、全国には64,704棟あると推測できます。

建て替え工事が完了しているのは平成30年4月1日の段階で237棟ですから、建て替えがされたマンションは全体の約0.37%となっています。

建て替えが行われているのは1%にも満たないほど極わずかな例ということが分かります。

 

 

建て替えまでの流れ

簡単にではありますが、建て替えまでの流れを把握してください。以下7つのステップがあります。

 

①準備・検討・計画

■耐震の診断。
■住民に対するアンケート調査の実施。

 

②建て替え決議(区分所有法)

■住民(区分所有者)の会議で5分の4以上の賛成で可決。
■再建建物の設計、費用の概算額、費用の分担、再建建物の区分所有権の帰属を決議。

 

③マンション建替組合の設立認可

■決議合意者の4分の3以上の同意で認可申請。
■事業主体となる建替組合を設立(デベロッパーも組合に参加)。

 

④反対区分所有者への売り渡し請求

■マンション建替組合が反対区分所有者の権利を時価で買取。

 

⑤権利変換計画の決定・認可

■従前マンションの区分所有権、担保権、借家権は原則として再建マンションに移行。
■申出による転出者は期日までに補償金を取得。
■居住者は組合が通知した期限までにマンションを明渡し。

 

⑥組合がマンションの権利を取得

■期日において権利が一斉に変動。

 

⑦組合による建替事業

 

マンションの建て替えについて、より詳しく知りたい方は国土交通省「マンション建替え等・改修について」をご参照ください。

 

 

マンションの老朽化により建て替えをすることになったとしても、住民に1戸当たり1,000万円近くの費用負担が強いられることになり、賛同されないケースがほとんどでしょう。

 

現に平成30年4月1日までに建て替えが行われたのは、1%未満という極わずかな数字となっています。住民の立場からすると、高額費用がかかる建て替えをする可能性が低いと知り安堵した方もいるかもしれません。

しかし、建て替えや大規模修繕は住民の方を困らせるためにするわけではありません。住民の方が長く住めるようにと行われるのです。マンションを購入した際には建て替えや大規模修繕がある可能性があること、それは住民のために行われることを頭の片隅に置いておきましょう。

 

その他、マンションの売買に関して疑問をお持ちの方は、「マンション専門家への質問」からご質問ください。マンションに詳しい東京カンテイの社員が可能な範囲で皆様のご質問にお答えします。なお、これからマンションを購入する方はこちらの「マンション検索」から探してみてください。

 

 

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