LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2019/11/4

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

 

浦野理一の茶羽織を直して作ってもらった角帯。

 

マンションライブラリーで「リフォーム」というと当然マンションのリフォームのことを思い浮かべられると思いますが、今回のテーマは着るもののリフォームです。

 

最近、着物をよく着るようになったのですが、最初のころはデパートや呉服屋さんなどで、お店のかたや着物に詳しい友人などから助言をもらって作っていました。

しかし、生来の「変わったもん好き」の自分としては、すぐに何となく物足りなくなってきたのです。

生意気な言い方ですが、なんかみんな似たり寄ったりで、「今」という時代に男が着物を着るということはこういうことか、と思いました。

ひとことでいえば「かっこいい」んです。

なんだか気取った「特別のもの」感満載で、都会的、現代的というんでしょうか、色もシックなものばかり。なんだか鼠色のゾロリとした感じになっちゃいます。

かといって、ちょい派手なアバンギャルドなものを探そうとすると、とたんに「不良っぽい」、元ヤンみたいなのになっちゃう。龍だのドクロだの、黒地に赤とか銀の箔とか、、、、。

しかも、みんな高いんですよね。

 

で、たどり着いたのが古着なのです。

大好きな浦野理一や、南のほうの上布や紬などの伝統着物など、古着を買って直してもらうことにしました。

 

浦野理一の経節紬の単衣。もとは女物の単衣でした。 それを洗い張りして仕立て直してもらいました。

 

これには縫いのひとつ紋を。

 

この着物の仕立て下ろしは、松屋にての展示会初日で。 紬だけど無地なので、ちょっとだけちゃんとした感じです。 ファッションデザイナーの横森美奈子さん、お世話になっているビストロ「アンカシェット」オーナーご夫婦と。

 

着物とは非常に優れた構造を持っていて、サイズに合わせて仕立て直すことができるのはみなさんご存じだと思います。そのために内側に「上げ」が取ってあったりして、丈の調節もできるようになっています。

しかし悲しきかな、男の着物は「対丈」で着るためお端折りがなく、丈そのものが短いことが多いのです。直しても着られるものがありません。

そこで目を付けたのが女物の着物。

女物にはお端折りがあるため、その分丈が長く、自分の着丈が十分取れることが多い。色や柄も女物のほうがバリエーション豊富なのも願ったりかなったり、です。

 

仕立て直すにあたり重要になってくるのが、「悉皆やさん」といわれる、着物の仕立てやリフォームをはじめお手入れ全般をプロデュースしてくれるプロの方たちです。

着物のサイズを直すときにもうひとつ問題なのは「裄」。袖の長さです。

裄の長さは反物幅で決まってきます。昔の着物はその時代の日本人の体格に合わせて狭いものがほとんどで、自分には反物幅全部使っても足りないことが多いのです。

そんな時にどうするか。ややこしい話をきちんと聞いてくれて、対応してくれるプロがどうしても必要になってきます。

 

僕が悉皆屋さん代わりに便利に使っている、「京織工房」にて。社長の中村さんと横森さん。 本来は帯の仕立て屋さんです。

 

さいわい僕が住んでいる下町のほうには昔ながらの悉皆屋さんがそこここにあるのですが、それでも最近はだいぶ減ってきました。そんな悉皆屋さん何軒かにお願いした結果、今一番お世話になっているのが上の写真の「京織工房」です。

本当は悉皆屋さんではなく帯の仕立てが専門の工房なのですが、社長の中村さんは着物全般に明るく、難しくややこしい僕の希望を親身に聞いてくださり、また工房そのものの持つ「手仕事」を生業にしている雰囲気も大好きで、最近はもっぱらここにお願いしています。

 

冒頭の帯のもとになった、浦野理一の茶羽織。これ自体帯を仕立て直したものらしく、袖に浦野の帯の証である2本の線が入っています。

 

 

リフォームした浦野の帯を締めたわたし。 白地に赤の縞の着物も同じく浦野理一の女物を仕立て直したもの。

 

もう一軒忘れてはならないのが、銀座にある「灯屋2」。

知る人ぞ知るアンティーク着物の店なのですが、そもそも僕に浦野理一なるものを教えてくれたのがこのお店です。

古い着物を現代サイズに直したり、アジアなど古今東西の面白い布で着物や帯を仕立てたり、と、まったくオリジナルな「灯屋流」の着物の楽しさを教えてもらっています。

先日も、インドネシアのちょっと古いバティックで帯を作るべくお願いしてきました。

店主の渋谷さんや店長の山田さんはもちろんのこと、スタッフのかたたちもみんな着物や布が大好きで、行けば買わずとも長々と話に花が咲く、そんな店です。

 

こんなジャワのバティックから帯を作ってもらいます。

 

大胆に布取りを決めていく店主の渋谷公子さん。

 

ここまで書いてきて気づいたのはやはり、信用のおける人、お店に出会うことの重要さ。

そんな頼もしい「助っ人」、「プロフェッショナル」、「先輩」、「話の合う人」、がいてこそリフォームは成功するし、より楽しいものになるんだ、ということ。

一からのオーダーももちろん楽しいんでしょうが、リフォームはそれにいたるちょっと手前の、より取っつきやすい「オーダー」なのかもしれません。

 

最後にもう一軒、というかもう一人。

最近人気の、洋服のリフォームのお店です。僕のまわりの人たちがみんな持ち込んでいる「心斎橋リフォーム」というお店、店主の内本さんです。

僕のまわりにはおしゃれな人たちが多く、そんな着道楽な方たちは「ちょっとサイズやシルエットが合わなくなった服」をたくさん所有していらっしゃいます。

昔は次々と新しい服を買っていたそんなお洒落さんたちも、ここからは僕の推察ですが、より大人になり「愛着のあるものをより愛着を持って」着ていこうというように気持ちが変わってきたのではないでしょうか。

そんな時代の流れというか世代の気分に、ぴったりのクオリティで応えてくれる、そんなお店なんだと思います。

 

本当はまだコンフィデンシャルにしときたかったのですが、僕も先日初めて一着お願いしました。花千代さんシンガーさん夫妻主催のボジョレーヌーヴォーのパーティーに着るための服です。

とても素敵に仕上がり、パーティーがますます楽しみになりました。

パーティーでお会いしましょう。

 

これはリフォーム前。店主の内本さんと。

 

仕上がり。写真じゃよくわかりませんが、シルエットをすっきりさせてもらいました。

 

 

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」。

 

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

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