美的 Life Style by 花千代2019/10/31

 

 

 

日本の秋の味覚を代表するものといえば松茸。

季節になると和食屋だけでなく、最近はフレンチやイタリアン、中華などでも松茸料理を味わうことができますが、味だけでなく風情も含めて味わう、ということであれば京都嵐山吉兆で庭を眺めながらいただく松茸が私にとっては最高最上です。

 

 

 

 

 

 

いち早くキャビアやフォワグラなどの食材を取り入れ、和食の世界に革命をおこしたといわれる吉兆初代の湯木貞一氏ですが、孫世代の今日でも懐石の基本をリスペクトし、いたずらにフュージョンに走ることなく伝統と革新のバランスを取り続けているのは流石といえるでしょう。

 

吉兆系列の中でも嵐山は立地や家屋、庭などが圧倒的に素晴らしく、元々古美術商「米山居」児島嘉助氏の逝去後、別邸であったこの家屋をゆずりうけたという歴史があり、数寄者で有名であった児島氏が見初めた土地でありますので、桂川沿いから門をくぐり入ると緩やかなランドスケープに素晴らしい庭、そしてそれぞれの座敷にはお軸、調度品、眼福極まる食器・・・といたるところに日本の美を感じられる空間です。

 

吉兆では松茸は座敷で目の前で調理したものを食します。

時期によっては丹波とは限りませんが、国産の上ものを和紙を被せ香りを飛ばないように炭で焼いていきます。焼いている間中、板前さんは霧吹きで水を吹きかけながら一種の蒸し焼き状態にします。焼きあがったものを先日は持ち込みワインのラフォンに合わせていただき秋の味覚を堪能しました。

 

 

 

 

 

 

マグロ握りにはブルゴーニュの銘酒アンリジャイエやボルドーのシャトー・オーブリオンを合わせ、これも至極美味でした。

 

 

 

 

座敷の床の間には、晩秋を感じる小菊のお軸、女将の帯も菊の絵柄、そして最初の乾杯は菊の花びらをしのばせた朱杯に日本酒を注いで・・・この様に料理、設え、空間、景色、を五感で楽しむというのは料亭で和食をいただく醍醐味でしょう。

日本の美しき秋、また来年もこちらで松茸を味わいたいものです。

 

 

 

 

 

花千代 フラワーアーティスト
パリにて4年間フラワーデザインを学ぶ。
帰国後、CMや映画のスタイリング、イベント装花や店舗ディスプレー、ホテルのフラワーアートディレクションなど多岐わたって活躍。
2008年洞爺湖G8サミット公式晩餐会会場装花、2013年オランド仏大統領総理官邸公式ランチョン、APEC総理公邸晩餐会で和のテーブル装花なども手がける。
2013年、2015年と夏目漱石原作芝居「三毛子」と「「こころ」の舞台美術を、2016年新作「乙姫さま」の舞台美術をそれぞれ三越劇場にて担当、テレビ東京「ソロモン流」NHK「グランジュテ」などTV出演、ジュエリーや家具、シューズデザインなどコラボワークも多い。
近著に「花千代流テーブル&フラワースタイリング」誠文堂新光社

Hanachiyo Flower Design Studio  http://www.hanachiyo.com/

https://www.facebook.com/Hanachiyo

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