住めば都も、遷都する2019/9/4

ひっそりとしたわが家にひとりでいると、家が守ってくれている感じがする。一方、お客さんがたくさん見える日は、わが家も華やいでいる。にぎやかになるぞ、と期待しているのかも知れない。

 

まあ、招く側としては、色々と大変である。散らかった部屋を片付けて、丹念に掃除をする。食器も洗って、花も活けなければならない。もちろん、料理作りも時間がかかる。

 

ピンポン、と最初のお客がやってくる。いつもの通り、あの方だ。定刻きっかり律儀に見える。それから、続々とみんなが到着する。

1時間くらい遅れてくる夫婦もあって、これもいつも通り。毎回、言い訳がちょっとずつ違うのだが、前から来ているお客達は、誰も聞いていない。「ああ、いつもと同じ。1時間遅れなら、まあまあね」と寛容である。

 

 

やがて、窓の外は暗くなり、街にも明かりがつく。その頃は、もう、家の中は、笑いとおしゃべりと音楽で満ちている。

 

さて、深夜、お客さんが帰宅し、皿洗いも終わる。やれやれという思いである。でも、楽しかったな。不思議なのは、我々と一緒にはしゃいでいたように思えた家も、ホッとしていること。もちろん、こちらの気持ちが、反映しているのだろうが。

 

お客さんをたくさん呼べる家は、楽しいことが多くなる。いくら騒いでも、よそのうちに音は響かない。住めば都も遷都する。そうした安心感を与える住まいかどうかは、訪問すればすぐに分かる。どっしりとした安定感。そんな家は、ひとりのときも守ってくれる。

 

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

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