ボンが見聞きしたあの街の美味しいお店2019/7/2

ワタシのご主人はこの家の奥様。毎日のようにワタシを散歩に連れて行ってくださる。

そしてご自身は美味しいレストランで毎日のように食べ歩き、カフェでコーヒーを飲み時々ケーキも食べ、その街の美味しいパンを買って帰る。たまに奥様のダンナ様もご一緒する事もあるが回数は限られている。そしてその日の食事報告をワタシに逐一してくださる。たまに私の食事分もドギーバッグに入れて持って来てくださる。。

あっ、私の名前はボン。オスのコッカースパニエル、4歳。

 

 

今日の散歩は丸ノ内線で言えば「淡路町」、都営新宿線で言えば「小川町」エリア。

今回紹介するエリアは旧地名は神田連雀町。戦災を免れたエリアには多くの老舗名店がある。

池波正太郎氏の「散歩のとき何か食べたくなって(新潮文庫)」のひとつの章タイトルにも「神田・連雀町」と言うものもあるくらい重要なエリアだワン。

まずこの日のランチはお蕎麦屋さん。

①「かんだやぶそば」

 

 

 

ここ「かんだやぶそば」は明治13年創業。薮蕎麦自体は言わずもがなの江戸時代から続く老舗系列のひとつ。

火事でお店が営業を休む前は何度か奥様は来ていたらしいが、201410月に再開してからは実は初訪問。なので、ワタシも生まれて初訪問

 

 

建て直した割には重厚感もあって明治13年創業の風情は庭園や帳場、響き渡るあの独特の穏やかなかけ声など、そこここにちゃんと残っているようだ。「いらっしゃい〜〜」、「せいろう一枚~」、「ありがとう存じます〜」。

店員さんの挨拶も、帳場に座る女将さんも、ずっと変わらぬ「やぶそば」の世界。

 

この日奥様は「せいろ(税抜 670円)」と「天だね(税抜 1340円)」を注文。外税161円つくが1円引きで計2170円也。

 

 

蕎麦は蕎麦粉10に対して小麦粉1の「外一蕎麦」。藪系なので、ツユは昆布と鰹節の濃い〜い辛口タイプ。江戸時代に食べられていたのと同じようにツユを半分から1/3程度つけて食べるのがベスト。その瞬間、江戸っ子の粋な気持ちになれる。まあ、蕎麦を全部ツユに浸けたら辛くて食べられたもんじゃない。

昔は蕎麦が水分をだいぶ含んでいて、だんだん薄くなるから濃いめだったという説もある。

 

細めのそばはのどごしが良くて、蕎麦の新芽を混ぜているため緑色が濃い。

 

 

天だねはたまご感も感じる。衣はサクサクザクザク、ふっくらした揚げ方、中にはふんだんにプリっとした小海老が潜んでいる。美味いわ、と奥様つぶやく。

 

 

美しい湾曲を持ったせいろうの竹スノコは合羽橋の蕎麦道具専門店竹むら漆器店の特注品。

 

 

帰り際、庭に鎮座している「かんだやぶそば 初代堀田七兵衛さん」の銅像に『美味しかったです。ありがとうございました。また、来ますね』と軽く奥様は挨拶しつつその場を離れた。

 

(ちなみに浅草の『並木藪蕎麦』はこの七兵衛さんの三男の堀田勝三氏が創業)

 

 

 

さてそこから数十歩。奥様どうしても昔からよく行っていた店があって立ち寄ることに。

Sw「竹むら」 

 

 

池波正太郎の小説では浅草の汁粉屋の話が出てくるが、汁粉屋とは男女の逢引きの場に相応しく、同伴喫茶的な役割と説明している。戦前の東京の面影を残す「竹むら」も男女の逢引にふさわしい風雅なしゃれた造りを残している、と先述の本に書いてある。

 

今では店外まで行列が出来るほど人気で、衆目を集めるし、食べたら早く暇(いとま)を取らないと他の客に失礼だし、逢いびきの場になんてとんでもないと思うワン…。

 

10人程度並んでいる後ろにつく。15分ほど待って店内に案内される。

名物の「粟ぜんざい(税込 820円)」…めちゃくちゃ久しぶりに食べたのだそう。昔より量が減った気がすると言っていたが、やはり美味さは昔のまま。

 

 

それともうひとつの名物「揚げまんじゅう(税込 490円)」もいただく。

 

 

揚げまんじゅうも揚げたてで、美味く、胡麻油が香ばしい。

池波正太郎氏は花柳界のお土産に使っていたようだが、熱々の出来立てはその場で食べる方が美味しいと思うのだが…。

 

食べ物の写真撮影はオッケー、店内撮影は禁止。

 

15時過ぎに店外に出るとさらに行列は増えていた。

 

 

 

今日の夜のオヤツと明日の朝のためのパンを買いにポタポタ散歩して

「近江屋洋菓子店 神田店 へ。

 

 

創業から今年で135年。明治時代に近江屋と屋号を付け創業。初代当主の奥様が近江の彦根に住んでいたこと、商人の理想である近江商人の意味も込めたのではないか、との事(HPより)。当初は炭屋という今の洋菓子店からは想像だにしない商いからスタート。

その後、パン屋へ変身。

今もケーキとは別コーナーでパンも販売している。

 

 

 

ケーキも美味しいが今回はパンの話。さすがにクリームパン(税抜 130円)のクリームは洋菓子店だけあって美味しい。パンもキャッチャーミットのような形でほんわか食感。しかもこの値段なら買わないわけに行かない。

 

 

ピロシキ(税抜 330円)は肉がギッシリ、ボリューミー。これがまた美味しい。半分は当日そのまま、もう半分は翌朝オーブントースターであっためて食べてみるとこれがやや焦げたがその焦げ目も含めて美味しいんだワン。

 

ドッグパンは小さなサイズながら5つもあって、これも税抜200円と財布に優しい。購入日当日はそのまま真ん中を切ってレタスとチーズとハムで食べた。パンも柔らかくて美味しい。

 

翌日はパンは焼いて、レタスとウインナーに少しケチャップを付けて挟んでいただく。これも美味しかった。

 

たかが200円のパン、思いっきり有効に使って食べた感じ。

 

 

パンと一緒に人気ケーキの「苺サンドショート(税抜 800円)」も買って帰ることにした。スポンジ部はふわふわ、生クリームが絶品でホントに自然と口に入れた瞬間から融けていく。この美味しさをなんと表現して良いか分からない…。

パンも良いけど、やっぱりケーキも良い。

 

 

 

「松榮亭・洋風かき揚げ」

 

 

明治時代に麹町にあった洋食屋「宝亭」の料理人「堀口岩吉氏」は明治時代にドイツから東京帝国大学に招聘された講師のフォン・ケーベル博士の専属料理人になったと言う。

 

その後ケーベル先生の家に訪ねて来た教え子だった夏目漱石と幸田延(露伴の実妹)に思いつきで出した「洋風かき揚げ」はさらにその後明治40年、ケーベル博士が東京を離れ岩吉が創業した「松榮亭」の看板メニューになる。

そして今でもこの店の人気メニュー。

 

と言うかそれが有名なのだが、油もドミグラスソースもドレッシングも自家製というほどこだわりのあるお店なので、どれを食べても高いレベルの料理。

 

夕方17時オープンの時間に淡路町に奥様はいたので懐かしくて大してお腹も空いてないのに、ふらりと何年かぶりかに寄ってみた。

普通にオムライスにも惹かれたがそれこそ20年ぶりくらいに「洋風かき揚げ(税込 950円)」と「ライス(税込 200円)」を注文。

 

 

実は洋風かき揚げという名前だがなんとも不思議な食べ物。

小麦粉と豚肉と玉ねぎと玉子で作られている。ラードでじっくり揚げるので、出来上がるのに10分以上かかる。外側はしっかりとサクッと揚げられ中はふわっとしている。

そのまま食べると味付けは物足りないので、用意されたマスタードと卓上のソースを適度につけて食べるとちょっとB級の粉物食べている感覚にもなる。

奥様は好きな料理らしい。

 

 

添えられた「キャベツ、トマト、パセリ」のサラダにドレッシングをかけて一緒に食べると立派な洋食。

 

ライスも炊きたてで米の甘さもしっかり感じられて美味しい。これだけでご馳走。

 

これだけ老舗の集まる歴史を感じるエリア、住んでみると楽しいだろうなぁ。

この日はこれだけにして3日後もう一度淡路町界隈に散歩することになった。

 

 

 

さて、3日後…ここだけこれまで紹介した連雀町とは違うエリアになるが洋食の人気店にランチで訪問。

「七條  

11時半オープンだが11時40分には既に満席。

 

 

今日も奥様は「ミックスフライ」(=海老フライ2本、蟹クリームコロッケ、鯵フライをホタテに変更)をオーダー。やっぱり揚げ方も絶妙で美味しい。

 

この店ではやっぱり名物の海老フライを軸に考えたい。ハンバーグステーキを頼もうが、和牛スネ肉カレーを頼もうが、一本300円の海老フライは追加したい。

 

夜までこの辺りを散歩して、香川から出てきた若手の会社社長と合流。その人を連れて老舗料理店に案内。店の名前は

「ぼたん」

 

 

 

明治30年からメニューは基本「鳥すきやき」一本。

鳥の竜田揚げのメニューもあるがご飯の〆までの量を考えると、相当食べれる人がいない限りは伝統の「鳥すきやき」コースだけで十分。

 

鳥すきやきの作り方は創業時から変わっていないのだそう。

 

今どき、座敷でガスを使わず備長炭の炭火でもって、それぞれ2人づつの客にひとつの鉄鍋をつつく方式なんて、贅沢な感じ。開店当初、ひとり客が多くて小さな鍋にしたのが現在の名残り。

 

 

今回は4人で2火鉢2鉄鍋と言う体制。

 

 

掘りごたつでもなく普通の座敷なので、脚を崩せる格好だと楽。女性はズボン(パンツ)の方が動きやすいので奥様も準備万端で臨んでいた。

 

戦災も震災も乗り越えて都選定歴史的建造物に認定されているほど店構えも素敵で、それだけでも一見の価値あり。

 

焼酎を頼もうと思ったが、ボトルしかないのでビールでスタート。日本酒も2合瓶から。

「鳥すきやき」の具には胸肉やもも肉、皮、レバー、砂肝、つみれ、ネギ、焼き豆腐、しらたきが入る。

 

 

鳥は生後60〜70日の雛鳥を使うのだそう。

これが2人で計3皿山盛りで用意されるので、かなりボリューミー。

最初のひと皿分は店の仲居さんが鉄鍋にセットしてくれるが2皿目からは各テーブル個々の鍋奉行が対応する事になる。今夜は僕が担当。

 

 

割り下は鰹出汁の濃いタイプと水で薄めてあるタイプの2つが用意されて、煮込まれた状態に合わせて適宜どちらかを追加して調整していく。

すき焼き用の生玉子は1人につき最初から2個づつ付いて来るので、なくなることをハラハラせずに食べられる(追加ももちろん出来る)

 

炭火の強さが鳥を早く煮込むのに重要。鍋に入れ忘れたまま少し長めに煮込んでも十分に柔らかく、美味しい。

胸肉も、もも肉、つみれ、ネギ、豆腐、しらたきは絶品。

 

〆には「出汁かけごはん」か、玉子でとじて「親子丼(具があまり残ってない時は玉子丼)」にして食べるパターンを選ぶ。

昔から伝統的な食べ方は前者の「出汁かけごはん」なので、やはりそちらを選択。

 

 

飲み残しの焼酎は奥様のキープにした。また、来ようと思ってらっしゃるのがよく分かる。

 

さて、今回の散歩はここまで。来週も食の宝庫の淡路町・小川町界隈を散歩する予定だワン。

 

 

* 文中に出てくるBはパン屋さん、Swはスイーツ、Cはカフェ、SHは土産や品物を買った店、数字を囲む◯は昼間の利用、●は夜利用を表すワン!

*この情報は作者とボンの散歩時点のものであり、変更が起きている場合があります。最新情報はご自身でご確認ください。

 

 

 

 

川井潤  食関係含めた幅広いプロデューサー

食に限らず多くのプロジェクトを手掛ける。テレビ番組「料理の鉄人」企画ブレーン(1992年~97年)。地域や食のため世界中に出向く。ほぼ外食生活。食べログフォロワー数日本一。食雑誌dancyu等、執筆多数。

https://tabelog.com/rvwr/kawaijun/ 

https://magazine.tabelog.com/articles/author/kawai_jun

https://goetheweb.jp/restaurant/slug-nee725999900f

#グルメ

ボンが見聞きしたあの街の美味しいお店 についての記事

もっと見る