住めば都も、遷都する2019/5/12

家の近くに公共施設があると嬉しい。例えば、植物園があるとしよう。ふらっと訪れると、温室の中は、飛行機で何時間も南下したように暑い。図鑑で見たような南国の樹木が生い茂り、花々が咲き誇っている。

 

公共施設だから、入園料も数百円。温室を覗いた後は、屋外の庭園を歩く。いまの季節なら、花木や花壇が赤、紫、白と色づいている。ひとまず、写真は撮っておこうか。

 

さて、お茶をして帰ろう、となじみのカフェに。何だか、それだけで、ホッとする一時。これも、近くにあるから。遠くから来るとなれば、こんなくつろぎの感じはないだろう。

 

不思議なのは、植物園という自然の場に行くと、心が脱力する。でも、美術館とかコンサートのような文化イベントの場は、もっと緊張感を感じる。

 

 

美術館の場合、絵を描いた画家と面と向かう気持ちになる。時には、「どうして、こんな描き方なの」と画家に問いたくなることもある。対峙すると言えば大げさだが、ともかく絵と話しているようでドキドキする。コンサートも同じようにこちらの感情が揺さぶられる。

 

 

自然を再現した施設と文化を表現した施設は、印象が異なるのかも知れない。植物園・動物園・水族館と言った自然を感じさせる場所は、おおらかさがある。一方、美術館・音楽ホールなど文化的な空間では、こちらも少し構えてしまう。

 

どちらが良いというのではなくて、公共施設の性格の違いだろう。図書館の場合は、自分が選ぶ本によって変わってくるので、両面を持っていると言える。

 

住めば都も遷都する。そう、すぐれた公共施設がそばにあるかどうかは、生活の質を決める。もちろん、幼い子どもがいれば、良い学校が近くにあるかどうかも大切だ。いずれにしても、ホッとする空間、ドキドキする場所を、自宅のそばに持ちたいものである。

 

 

 

関沢英彦(文・イラスト)

発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書多数。現在、ヤフーニュースなどの個人ブログも執筆中。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sekizawahidehiko/

http://ameblo.jp/ideationconsultant/entry-12291077468.html

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