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LIFE IS BEAUTIFUL!!! 山田英幸のもの・ものがたり2017/8/29

好きなものだけに囲まれて暮らしたい。

毎日の暮らしを、わがままに、自分好みに美しく整えたい。

そのために必要なのはたっぷりのお金!!

ではありません。

ちょっとしたアイディアや工夫、少しの手間、そして何より一番大切なのはどれだけそのものを愛せるか、ということ。

 

身のまわりのものを愛する、ということは、暮らしを愛する、ということ。

それはつまり、人生を、自分を愛する、ということだと思います。

ちょっとしたことで、暮らしはもっと美しくなる。

人生も、もっと美しくなるのではないでしょうか。

 

 

縞の紬で作った仕覆。緒(口にかがった紐)は四つ打ちの絹です

 

仕覆(しふく)というものを作っています。

そもそも仕覆は、茶道で使う茶入(ちゃいれ)を入れるための袋でした。

その昔、多くは中国など外国から渡ってきた小壺つまり茶入は戦国時代の武士や茶人たちにとても珍重され、茶入ひとつと城とを交換したこともあるとか。

そして有名高名な茶入があると、わざわざ出かけて行ってそれを「拝見」します。つまり、茶会を開いてもらうわけです。拝見したあと、その茶入に「仕覆」を作ってお礼の心を表したんだそうです。

そんなわけで、ひとつの茶入に3つも4つも仕覆が添えられているものもあります。

 

仕覆はいってみれば器のカバー、お洋服で、そもそもの役割は大切なものを「保護する」という現実的なものだったのですが、同時にその器が人々にどれだけ愛されたか、という「しるし」にもなっていったわけです。

仕覆表:縞紬 仕覆裏:格子平絹

 

さて、僕は茶道はたしなみません。

ですが、この「仕覆」というものの存在を知った時に、どうしても自分で作ってみたくなりました。そもそも10代のころから骨董品やアンティークが好きで、ガラクタみたいなものをいろいろ集めていました。大人になって集めたものも、勤め人の薄給で買い求めたものなので大したものであるわけもないのですが、それでも自分としては大枚をはたいた愛着のあるものも多いのです。

また、昔から手仕事が好きで、縫物なんかも得意でした。

そんなことから、自分で買い集めた骨董品に、じぶんで仕覆を作ってかけるようになったのです。

ですから僕の場合、仕覆をかけるのは茶道具ばかりではありません。伊万里の皿にだって、バカラのグラスにだって仕覆をかけます。

仕覆をかけた道具は、寸法を測り特注した桐箱に納めます。箱には掛け紙をして、そこに中身の名前などを書きます。そのうえ、その桐箱を包む木綿の風呂敷を作ることもあります。

ここまでやって、その道具は「体裁が整った」と言えるのです。

皿:藍久谷松文皿(1650年ころ)間にはさんだのは縮緬で作った「へだて」

 

 

「ものの命は人の命より長い」

美しいものはそれだけで大切にされ、骨董品となり生き続けていきます。

たまたま今、自分の手元にあるそんなものたちは、たぶん僕が死んだ後も生き永らえて行くでしょう。つまり僕たちはその長い命のほんの一瞬を預かっているにすぎないのです。

愛するものたちに仕覆をかけ、美しく仕舞うということ。それは今まで長い間生き続けて来た美しいものたちを大切に保護し、後世にちゃんと受け渡すためにほかなりません。

しかし同時に、「そのものたちを愛した自分」という存在をも、そのものに添わせてもいるのです。

自分が死んだ後も、そのものが生きながらえていれば、そこに添えられた仕覆とともに「自分」も生き続けるような気がするのです。

箱の掛け紙には中身の名前を

 

山田英幸

幼い時から美しいものが好きで、長年にわたり骨董・アンティーク・古裂・ヴィンテージテキスタイルなどを収集。

また手仕事も得意で、洋服、帽子、人形、テディベアなどを制作するが、1990年頃「究極の手仕事・仕覆」に出会い、現在も制作を続けている。

西麻布「ルベイン」「銀座松屋」などで仕覆展示会開催。

自称「手芸の国の王子様」

とにかく、「もの」が好き。それにちょっとした工夫や手仕事をプラスすることで、身の回りを美しく、毎日を楽しくしたいと思っている。

愛知県名古屋市生まれ。現広告代理店クリエイティブディレクター。

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