『散歩の達人』神楽坂 

ペコちゃん焼き

新旧&和洋が溶け合う
美しき「山の手の下町」

古きよき街並みと、海外の文化も取り入れる柔軟性が共存。新旧、さらに和洋の要素が重なり合う神楽坂は、ほのかにオリエンタルな香りがする。路地も多く、通りごとに景色は一変。じつに表情豊かで、散歩にうってつけだ。

がらりと変わる景色にタイムスリップ気分

商店街のある目抜き通りから路地を折れると、ふいに大正・昭和初期に建てられたと思しき建物が目に入る。こんなギャップを随所で味わえるのも神楽坂の魅力。今時のセンスが光る個人店や古い街並みなど、行ったり来たりしてみよう。

石畳

味わい深い石畳がある風景

神楽坂は明治時代から続く歴史ある花街。戦前の最盛期ほどではないにしろ、今も700人近い芸妓が活躍している。路地裏には風情ある石畳が健在。車両進入不可の狭い道が残る。 地図★1>

神楽坂の見どころの一つに、美しい石畳の路地がある。料亭の黒板塀に挟まれ古都の風情を醸す通りや、市販の地図に載らない細い道など、歩けば歩くほど興味をそそられる。また、神楽坂には花街という一面も。最近は料亭の外観をそのまま生かした和ダイニングや洋食店もでき、女性客が増えているとか。

kado

季節の味覚をお酒と共に味わう

割烹居酒屋『カド』の自慢は、旬の素材を取り入れた和食。手間隙かけた繊細な味わいで、日本酒と相性がいい。季節のコース全5品3240円。立ち飲みは16~22時LO(土・日・祝は14時~)。座敷は17~22時LO(最終入店は~21時)。無休。📞03・3268・2410 地図★2>

路地裏の角に立つ『カド』は、昭和24年築の古民家を利用した割烹居酒屋。引き戸を開けるとすぐ土間があり、パッと飲んでサッと帰りたい人はここで立ち飲みもおすすめだ。縁側付きの座敷もあり、入り込むそよ風が気持ちいい。神楽坂を「山の手の下町」と呼ぶ人もいるが、ここにはまさにそんな居心地のよさがある。

AYUMI GALLERY

洋風の木造家屋が展示空間を演出

昭和59年に開廊したレンタルギャラリー『AYUMI GALLERY』。漆喰や木の自然素材で囲まれた展示スペースには、穏やかな時間が流れる。11~19時、木休。📞03・3269・1202 地図★3>

神楽坂通りで一際目を引くのが、イギリスなどで見られるハーフティンバー風の木造家屋。昭和28年に建築家のアトリエとして建てられ、現在は登録有形文化財(建造物)に指定されている。1階の『AYUMI GALLERY』では、企画によって絵画や彫刻、写真などさまざまな作品を展示。建物に民家の面影が残り、リラックスして鑑賞できるのがうれしい。

トンボロ

ゆっくり休憩するのに最適な場所

『トンボロ』のブレンドコーヒーは「香りと酸味のA」、「こくと苦味のB」の2種類。その日の気分に合わせて好きな方を選んで。ブレンド550円。10時~18時、木・第1水休。📞03・3267・4538 地図★4>

「新しいものと古いものをつなぐラブリー」をコンセプトにするのは、レトロな佇まいのカフェ『トンボロ』。店主の平岡伸三さんは建築家でもあり、ブビンガという木材の一枚板をカウンターにしている。椅子はアメリカのアンティークで、カウンターの高さに合わせて2cmほど足を切った。平岡さんとのおしゃべりも楽しく、つい長居してしまう。

東京大神宮

幸せのご縁を結ぶ「東京のお伊勢さま」

明治13年(1880)、日比谷に創建され、昭和3年(1928)に現在の地である飯田橋に移された東京大神宮。境内はいつもきれいに保たれ、たくさんの参拝者で賑わう。参拝自由。📞03・3262・3566 地図★5>

寺社が多いのも神楽坂の特徴。飯田橋方面に足をのばすと、伊勢神宮の遥拝殿として創建された東京大神宮がある。日本で初めての神前結婚式が行われた神社であることから、縁結びにご利益があると有名だが、恋愛に限らず、仕事の面でも良縁をもたらしてくれると評判。困った時や人生の節目に、ぜひ訪れたい。

フランセ

フランス文化の複合的発信地

「アンスティチュ・フランセ東京」の多目的ホールでは、テーマ性のある切り口で映画を上映したり、日仏の批評家や映画人の講演会、座談会も行う。総合受付は9時30分~19時30分(月は12時~、土は~19時、日は~18時)、祝休。📞03・5206・2500 地図★6>

一方、日本情緒あふれる神楽坂に異国の風を吹かせる存在が「アンスティチェ・フランセ東京」。昭和27年に「東京日仏学院」として始まったフランス語学校兼文化センターで、映画、演劇、音楽、舞踏、写真、造形美術など、あらゆるフランス文化の発信地にもなっている。門戸は広く開かれ、一般客もイベントに参加可能。館内の書店やカフェも利用でき、フランス語ができなくても大丈夫だ。

余白

ウイスキーお酒大人の読書空間

『Book&Bar 余白』の本棚には文芸や人文、社会、アート、自然、さらにサブカルまで、2200冊を超える蔵書が並ぶ。閲覧自由、貸し出しも可。ウイスキー660円~、フード460円~。18時~25時30分(日は17時~23時30分)、月休。📞03・5229・7016 地図★7>

出版社や印刷製本会社、デザイン事務所など、出版に関わる会社が多く、実は本の街でもある神楽坂。独自の視点で本を揃えるこだわりの書店や、本好きの店主が営むカフェ、バーなど、ブックスポット巡りも楽しい。そのゴールに持ってきたいのは、『Book&Bar 余白』。グラスを片手にほろ酔いで本の世界に浸る、至福のひとときが叶う。

jokogumo

毎日使うものこそこだわりたい

こだわりの品を集めた『jokogumo』の店内。職人のていねいな仕事ぶりを見学しに、店主自ら各地に足を運ぶ。作品にまつわる裏話を聞くのも醍醐味。12時~18時30分、日・月休。📞03・5228・3997 地図★8>

店主の個性が光る店といえば、雑貨店もバリエーションが豊富だ。なかでも『jokogumo』は、木の器やコットンのタオル、衣料、かごなど手作りの工芸品がずらりと並ぶ。どれも生活に密着した実用品で、大事にすれば長く使える一生モノ。何でもない一日を豊かにしてくれる鍵が、神楽坂にはあふれている。

acho

濃厚な大人プリンにヤミツキ

『ACHO』のプリンは9種類。一押しは、地養卵を使ったバニラキング410円(左手前)だ。チョコレートをベースにコニャックをたっぷり使ったブランデウェイン486円は大人の味わい。他に、焼き菓子も扱う。11時~19時(日・祝~18時30分)、火・第3水休。📞03・3269・8933 地図★9>

甘いものも名店揃いで和菓子も洋菓子もよりどりみどり。『ACHO』はテイクアウト専門店で、リキュールをたっぷり使ったプリンが人気だ。昭和42年から続く大判焼き「ペコちゃん焼」は、『不二家 飯田橋神楽坂店』でしか買えない限定メニュー。これが今や、神楽坂名物として観光客にも知られている。

ペコちゃん焼き

「ペコちゃん焼」に会いに行こう

神楽坂下にある『不二家 飯田橋神楽坂店』。「ペコちゃん焼」は餡やカスタード、チョコ、月替わりメニューなど種類豊富だ。160円~。たまに「ポコちゃん焼」も登場するそうで、出会えたらラッキーだ。10~20時、不定休。📞03・3269・1526 地図★10>

あらゆるものを積極的に取り入れながら、“神楽坂らしさ”を保つ心意気。その進化する“らしさ”がこの街の魅力なのだ。
 

文=信藤舞子 撮影=丸毛透、加藤昌人、山出高士、阿部栄一郎、大八木宏武、オカダタカオ、鈴木愛子、矢巻美穂、yOU(河崎夕子)

*本ページに記載されている情報は2019年8月19日現在の情報です。

五十鈴
季節感満載の和菓子にファン多数

手土産やおやつを買い求める人が後を絶たない和菓子店『五十鈴』。団子、餅はコシヒカリを自家製粉するところから始め、つやっとしたハリのある食感に仕上げる。餡ももちろん手作り。麩まんじゅう、水まんじゅう各270円は夏限定で9月中旬まで。9時~19時30分、日・祝休(こどもの日、お彼岸は営業。その他不定休あり)。📞03・3269・0081 地図★11>

野菜計画
フレッシュな産直野菜が勢揃い

有機や無農薬の野菜を揃え、周辺住民の食生活を支える八百屋『神楽坂野菜計画』。商品はどれも前日の夕方か、その日の朝に収穫され、農家から直送された新鮮なものばかりだ。平成30年に東京都日の出町で自社農場を開始。新鮮で味の濃い葉物野菜「サラダハーブミックス」が人気を呼んでいる。10~20時、無休(不定休あり)。📞03・5579・2094 地図★12>

嘉瑞工房
活版印刷の美しい文字にうっとり

昭和30年の創業以来、昔ながらの金属活字で活版印刷を行う『嘉瑞工房』。アメリカやヨーロッパから直輸入された欧文の金属活字の量と種類は国内トップを誇る。個人の注文も受け、名刺は片面印刷で100枚1万円程度。凸印刷された文字の独特の手触りが味わい深い。9~18時、土・日・祝休。📞03・3268・1961 地図★13>

フランセ2
フランスの絵本も手に入る

「アンスティチュ・フランセ東京」に入っているフランス語関連書の老舗書店『欧明社リヴ・ゴーシュ店』。フランス語で書かれた新聞や雑誌、書籍を販売する。一般客も利用可能。 地図★14>

クラシコ
きれいに整頓した本棚にうっとり

店名『古書クラシコ書店』の「クラシコ」は、「くらし」と「古書」を合わせた造語。ていねいに陳列された様子から、本に対する愛情が伝わってくる。本に残された線引きや書き込みなどの痕跡から、元の持ち主の人柄を想像するのも一興。古書ならではのそんな楽しみ方も教えてくれる。12時~夕刻(要問い合わせ)、土・日・祝休。📞03・5261・2342 地図★15>

ブルターニュ
フランスのガレットを体験

フランス生まれガレット(そば粉のクレープ)を日本で初めて提供したのは、何を隠そう『ル・ブルターニュ』。具だくさんの食事系や甘いデザート系など、約30種から選べる。なお、神楽坂は日本で最もフレンチレストランが多い地域だそう。11時30分~22時30分(土は11時~、日・祝は11~22時)LO、月休(祝の場合は営業)。📞03・3235・3001 地図★16>


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