『散歩の達人』目黒

目黒マルシェ Tokyo Garden

都心にありながら
のどかな田舎の空気が漂う

隣町の中目黒や恵比寿、白金に比べておっとりした印象の目黒。駅前こそオフィスビルも並ぶが、代々この地に住む家族は多く、住宅地には温かい“日常”がある。ここは、“オン”と“オフ”が混じり合う都心の田舎。  

「ただいま」と言いたくなる、みんなのホームタウン

江戸時代の目黒は、のどかな農村地帯。起伏に富んだ風光明媚な土地で、自然が溢れていた。目黒不動尊の門前には、茶店や料理屋、植木、荒物などの店がずらり。参詣に訪れた人でいつも賑わっていたという。

泰叡山護國院 瀧泉寺(通称:目黒不動尊)

今も昔も人々を癒す憩いの場

目黒不動尊の名でおなじみの瀧泉寺。大同3年(808)に創建され、江戸時代には行楽地としても人気に。江戸中期に造られた前不動堂は、『江戸名所図会』にも描かれている。 地図★1>

目黒不動尊といえば、日本三大不動、あるいは江戸五色不動の一つ。徳川幕府の庇護を受け、庶民にも愛された。

今もその親しみやすさは変わることなく、毎月28日の縁日には老若男女が和気あいあいとした雰囲気に。境内にテーブルが並べられ、露店で購入した食べものをつまんだり、まさに地元の憩いの場だ。

自然教育園 目黒

水辺でバードウォッチングも

自然教育園の面積は20ha。室町時代、豪族の館があった頃から開発の手がほとんど入らず、原始の森が残っている。9~17時(9月1日~4月30日は~16時30分、入園は通年~16時)、月休(祝の場合翌休)・祝翌日休(土・日の場合は開園)。入園310円。📞03・3441・7176 地図★2>

目黒駅の東側には、江戸時代、松平家、細川家など大名の下屋敷があった。下屋敷には別荘の役割もあり、参勤交代で疲れた外様大名たちが、束の間リラックスしていたのかもしれない。

自然教育園のあたりには、寛文4年(1664)、徳川光圀の兄・高松藩主松平讃岐守頼重の下屋敷があった。庭園の立派なシイやマツの巨木など、都心にも関わらず深い森が残る。

Cafe Bohemienne ボエミエンヌ 目黒

さあ、目黒通りでピクニックだ

目黒マルシェには100軒近い店が参加。その中の1軒、『café bohemiènne』は、普段は目黒通りの近くにあるオフィスで世界の食を研究し、レシピを開発している。不定期でカフェ営業も。詳細はFacebookで確認。目黒マルシェの詳細は Instagram地図★3>

このように、昔から人気の行楽地だった目黒。現在、「目黒通りをピクニックしよう!~ストリート ピクニック」をテーマに不定期開催されているのが、目黒マルシェだ。

当日は歩道にテーブルが出され、通り沿いの飲食店は自慢の料理や飲み物を揃える。ツウ好みのインテリアショップが軒を連ね、「家具通り」とも呼ばれる目黒通りだけあって、蚤の市には掘り出し物が多い。

らかん亭・らかん茶屋 目黒

「目黒のらかんさん」に乾杯

明治時代に本所から目黒に移転した天恩山 五百羅漢寺。境内で催されるビアガーデン「La・GORA」は夏のお楽しみだ。生ビール600円。開催スケジュールはFacebookで確認。📞03・3712・7545(らかん茶屋) 地図★4>

もう一つ、毎年地元の人々が心待ちにしているのが、五百羅漢寺の夏限定ビアガーデン。なんと、ほとんど予約でいっぱいなんだとか。

東京都の重要文化財に指定された羅漢像(現存305体)が見守るなか、楽しげな「乾杯」の声が響く。お酒の力と仏様のご利益で、日々のストレスや悩み事からほんの少し解放されるはず。

KUNIMA COFFEE 目黒

コーヒーの香りに和む至福空間

『KUNIMA COFFEE』では穏やかな店主夫妻にも癒される。邦彦さんが自家焙煎した珈琲豆を使い、ハンドドリップで淹れてくれる1杯が香ばしい。ドリンク510円~は+410円でホットサンドセットに。12~19時LO(土・日・祝は~20時LO)、水休(不定休あり)。📞03・6315・5494 地図★5>

31 サーティワンアイスクリーム 目黒

1974年、それは目黒から始まった

全国各地にチェーン展開している『サーティワン アイスクリーム』の日本1号店は、何を隠そう目黒。大人から子供まで、みんな大好きだ。目黒は男性客や外国人も多く、レギュラーダブル710円(参考価格)をぺろり。10~21時、不定休。📞03・5488・0031 地図★6>

一方、目黒には家族で営むこぢんまりした個人店も多い。『KUNIMA COFFEE』の日髙夫妻は、ご主人の邦彦さんが珈琲豆の焙煎も行う。

他に、駅近にも家族経営の居酒屋があり、くつろぎやすいアットホームな雰囲気がうれしい。

目黒マルシェ Tokyo Garden

花に囲まれながらのカフェタイム

「以前は昔ながらの花屋だったの」と登美代さん。今では仏壇の花を買い求める40年来の常連や家具屋巡りの若者など、さまざまな人が『Tokyo Garden』を訪れる。10~19時、水休。📞03・3710・1187 地図★7>

前述の目黒マルシェにも参加している花屋『Tokyo Garden』は、3代目の直井辰弥さんが中心となってリニューアルし、カフェを併設。現店主の登美代さんは、「若い人のアイデアっておもしろいわ」と背中を押す。おしゃれな店名は「初代店主だった祖父がつけました」と辰弥さん。元を辿ると、江戸時代から代々造園業を営んでいた老舗だ。

Impact hub tokyo 目黒

インパクトが生まれる起業家コミュニティ

国際色豊かな『Impact HUB Tokyo』の共用スペース。不定期でアートやフードのイベントも開催。『FITZROY』は10~18時(土・日・祝は11~19時)、不定休。📞03・6873・8531(Impact HUB Tokyo) 地図★8>

起業家が集まる『Impact HUB Tokyo』は、印刷工場をリノベーションしたコワーキングスペース。メンバー同士の協働や化学反応から「インパクトが生まれる空間」を作り出している。ラウンジスペースでは展示やワークショップも行われ、コーヒースタンド『FITZROY』は外部の人も利用できる。

変わらないよさもあれば、変わっていくよさもある。目黒には、どちらのよさもちゃんとあるのがいい。

目黒自動車文化センター

マニアックな展示も見逃せない

『自転車文化センター』は、「ハンドメイドバイシクル展」など展示も興味深い。詳細はFacebookで確認して。入館無料。蔵書は新刊なら閲覧自由。それ以外は利用登録料500円で読み放題だ。9時30分~16時45分最終入館、月休(祝の場合は翌休)。📞03・4334・7953 地図★9>

徒歩圏内にさまざまな文化施設が揃っているのも、目黒の大きな魅力。区が運営する美術館や区民プール、トップアーティストが演奏するライブハウス、自転車に関する国内外の専門誌や旅行記、統計資料などの書籍を約1万1500冊所蔵する『自転車文化センター』もある。

 

名監督、役者たちからも愛されてきた『目黒シネマ』は、開館60余年。独自の切り口で上映する作品をセレクトしているので、わざわざ遠くから足を運ぶファンも多い。館内の装飾は手作り感が満載。支配人による工作展「自力アート展」も知る人ぞ知る見どころだ。

目黒シネマ

これぞ未来に残すべき映画館

名だたる監督や役者のサインが寄せ書きされたフィルム映写機は、『目黒シネマ』で今も使われている現役! 旧作2本立て1500円。ラスト1本割引900円。上映スケジュールはHPで確認。📞03・3491・2557 地図★10>

居酒屋『カラビンカ』では、手作りピザからガパオライス、西京焼きなど、多国籍な料理が味わえる。不定期で開かれるライブもジャンルが多様で、聴く人の興味をぐっと広げてくれる場所だ。

「(周辺の街に比べて)目黒は静か。目黒在住のミュージシャンも多いんです」と店主の増田光則さん。なるほど、初めて聴く音楽でも不思議と肩肘張らず聴けるのは、そこかしこに“日常”が溢れている目黒の土地柄のおかげかもしれない。

カラビンカ 目黒

耳も舌も心も幸せで満たされる

和食、タイ料理、洋食など、あらゆる料理を楽しめ、どれにしようか迷うのも楽しい『カラビンカ』。お酒も種類豊富だ。ライブは不定期開催。11時30分~14時30分・18時~翌3時(金・土は夜のみ)、日休。📞03・5487・5501 地図★11>

仕事帰りの人もいれば、あとは帰って寝るだけというようなラフな格好の人もいる目黒。そんな都心の田舎には、何とも言えない居心地のよさがある。

 

 

 

文=信藤舞子 撮影=門馬央典、加藤昌人、清野 明

*本ページに記載されている情報は2019年8月19日現在の情報です。

目黒不動尊 バス
バスに乗って目黒不動尊へ

目黒不動尊の停留所でバスを降りると、そこはもう境内。バス停が境内にあることでなんとなくバス遠足気分も味わえ、わくわくする。 地図★12>

和菓子屋「玉川屋」 目黒
創業約100年の地元密着型和菓子店

『御菓子司 玉川屋』の仁王餅150円がモチーフにしているのは、目黒不動尊の仁王像の眼玉。わらび餅でつぶし餡を包んだ目黒銘菓だ。実は、今の仁王像を寄贈したのは、この店の3代目なんだとか。9~19時、無休。📞03・3491・0555 地図★13>

かむろ坂
地名に秘められた悲しい物語

かむろ坂は、このあたりが「かむろ山」と呼ばれていた名残。ルーツはこの地に残る逸話にある。自害した花魁を探していた下働きの少女(かむろ)が暴漢に襲われ、池に身を投げた。それを哀れに思った村人が少女を葬ったことから、この名が付いたとか。 地図★14>

目黒の坂
坂の上からはどんな景色が?

目黒は起伏に富んだ地形で、坂が多い。坂の上から景色を見渡すのも、下から坂を見上げるのも散歩の醍醐味だ。写真は五百羅漢寺裏の階段坂。

権之助坂商店街
寄り道したくなる坂道商店街

小体だが味のある飲食店が軒を連ねる権之助坂。その昔、年貢の軽減を訴えた目黒の名主・菅沼権之助の処刑が決まった際、最後にここを通ったことからこう呼ばれるようになったとか。 地図★15>

らかん茶屋 目黒
お参りの後は茶屋でのんびり

五百羅漢寺の『らかん茶屋』では、旬の食材を使った特製シロップで季節のかき氷も提供。写真は夏限定トウモロコシ。しょうゆを加えたみたらしカラメルが味の決め手だ。食事メニューもあり。10~17時、月休。📞03・3712・7545 地図★16>

レッカービッセン 目黒
土日にはできたての試食も可能!

20日間以上かけて低温熟成する『レッカービッセン』のハムは濃厚で、なおかつ後味が優しい。代表の清水憲三さんは「若手の職人2人と一緒に手作りしています」とにっこり。10~19時、水休。📞0120・59・1186 地図★17>

ラーメン隊 目黒
近隣会社員&住民の強い味方

お昼時の『ラーメン隊』には、熊本ラーメン・餃子セット850円で午後の英気を養う近隣会社員の姿も。餃子は脂身がふわっと溶け、うっとり。11時30分~14時30分(月・土は~14時)・18時30分~21時(月は夜営業休)、日・祝休。📞03・3794・5520 地図★18>


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